2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659377
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
橋谷 光 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10315905)
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Keywords | 過活動膀胱 / 微小循環 / 虚血 / 血管平滑筋 / 間質細胞 / 生活習慣病 / 尿路上皮 / 求心性神経 |
Research Abstract |
過活動膀胱における尿意切迫の機序である、尿路上皮-求心性神経信号伝達の病的な亢進には粘膜下虚血が関与していると考えられるので、膀胱粘膜下の微小循環に関わる血管の収縮特性について検討した。 摘出ラット膀胱から排尿筋層および尿路上皮を機械的に除去し、細動脈・細静脈網を含む粘膜下層標本を作成した。血管径変化を血管壁経時追跡画像システムにより計測した。 細動脈では自発的な血管径の変化は認めず、経壁神経刺激により一過性の血管径の減少(収縮)を生じた。神経性細動脈収縮はα_1受容体阻害薬プラゾシンにより約60%抑制され、グアネチジンにより消失した。またα_<1A>阻害薬RS17053によっても約50%抑制されたが、α_<1D>阻害薬BMY7378は無効であったことから、ラット膀胱粘膜下細動脈の神経性収縮は主に交感神経から遊離されるノルアドレナリンによりα_<1A>受容体を介して起こっていると考えられた。 細静脈は1分間に3~5回の自発収縮を発生し、この収縮は電位依存性カルシウム(Ca^<2+>)チャネル阻害剤ニフェジピンおよび小胞体へのCa^<2+>取り込みを担うCa^<2+>ATPase阻害剤CPAにより消失した。さらにCa^<2+>活性化塩素イオンチャネル(Cl^-)阻害剤であるNiflumic acid及びDIDS、イノシトール3リン酸(InsP_3)によるCa^<2+>遊離の阻害薬である2-APBによっても自発収縮が強く抑制されたことから、小胞体からのInsP_3受容体を介したCa^<2+>遊離によりCa^<2+>活性化Cl^-チャネルが開口し、それに伴う脱分極により電位依存性Ca^<2+>チャネルが開口する3段階の過程を経て自発収縮が生じていると考えられた。細静脈の自発収縮は血流促進作用およびポンプ作用により、特に蓄尿時の膀胱壁伸展時及びおよび排尿時膀胱内圧上昇時における粘膜下微小循環の維持に関与している可能性が示唆された。
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