2009 Fiscal Year Annual Research Report
iPS由来の血管内皮前駆細胞を用いて新生血管を標的とする新たな免疫療法の開発
Project/Area Number |
21659384
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小西 郁生 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (90192062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
万代 昌紀 京都大学, 医学研究科, 講師 (80283597)
八木 治彦 京都大学, 医学研究科, 助教 (70402857)
馬場 長 京都大学, 医学研究科, 助教 (60508240)
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Keywords | iPS細胞 / 血管内皮前駆細胞 / 細胞免疫療法 / ケモカイン / 卵巣癌 |
Research Abstract |
人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いて、これを血管内皮前駆細胞に分化させ、さらに免疫賦活遺伝子を導入し、婦人科腫瘍に取り込ませることで局所の微小免疫環境を改善する斬新な免疫標的療法の確立を最終目標としている。平成21年度は、まず胚由来の血管内皮前駆細胞の安定した培養、レトロウイルスに1よるサイドカイン遺伝子導入法を確立し、さらにそのサイトカイン産生血管内皮前駆細胞が、その前駆細胞的性格を維持しつつ、mRNA、タンパクレベルでサイトカインを恒常的に発現することを確認した。このサイトカイン遺伝子を用いて、マウス卵巣癌皮下、肺、腹腔内転移モデルに対して、腫瘍増殖抑制効果並びに生存期間の延長を認めた。詳細な解析の結果、腫瘍局所に免疫細胞、特に樹状細胞やCD4T細胞、CD8T細胞を効率よく誘導してくることが分かり、さらに脾臓細胞のINF-g産生能も増加しており、局所・全身で免疫活性化が起こっていることがわかった。末梢血中の血管内皮前駆細胞(EPC)が腫瘍に取り込まれ血管新生に利用されている現象を利用してこれをキャリアとして免疫賦活遺伝子を導入し、マウスモデルの癌病巣に分布させ、局所の腫瘍免疫を活性化する方法の開発を試み効果的に腫瘍を抑制することを見出した。またこの1年間で、iPS細胞の培養・分化の実験系を習得し確立することができた。それらを用いてiPS由来血管内皮前駆細胞(iPS-EPC)を安定して分化し、かっ各種免疫遺伝子導入の確立、さらにはマウス卵巣癌の腹腔内・肺転移モデルにおいて抗腫瘍効果を確認し、この免疫学的裏づけを行い、さらに臨床応用に向けて、次の過程の準備をおこなうことを目指す。
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Research Products
(5 results)