2009 Fiscal Year Annual Research Report
サルES細胞から内耳有毛細胞の効率的なin vitro分化誘導法の開発
Project/Area Number |
21659393
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉川 正英 Nara Medical University, 医学部, 准教授 (50230701)
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Keywords | サルES細胞 / 内耳有毛細胞 / 胚様体 / 共培養 / 分化誘導 |
Research Abstract |
カニクイザルES細胞(以下サルES細胞)から内耳有毛細胞のin vitro作成方法、とくに遺伝子操作を使用しない分化誘導法の開発のために、サルES細胞と補助細胞との共培養を行い、候補補助細胞株数種の中から最も効率よくサルES細胞を内耳有毛細胞に分化誘導させ得る最優良細胞株の選定を試みた。共培養する細胞株として、細胞バンクより入手した細胞株数種(PA6, OP9, ST2など)を用いた。ハンギングドロップ法にて作成した4日目胚様体(EBs)と補助細胞とを次の3つの方法で共培養した。すなわち、(1) 直接混合培養法、(2) パラホルムアルデヒド固定した補助細胞と直接混合培養、(3) 液性因子交通許容の隔膜を用いた間接混合培養である。28日間培養後、内耳有毛細胞マーカー(Math 1, Brn3.1, Myosin VIIa)の遺伝子発現を調べたところ、ST2細胞株との直接混合培養法および隔膜介在間接混合培養においてマーカー遺伝子発現が観察され、同時に免疫染色において陽性細胞の存在も確認できた。さらに、他の内耳有毛細胞マーカーEspin, AchR9α9, parvalbumin 3などの遺伝子発現および免疫染色陽性細胞出現も確認し得た。一方、EBsとST2以外の細胞種との共培養では、一部のマーカー遺伝子の僅かな発現は認める細胞株も存在したが、免疫染色では陽性細胞はほとんど出現しなった。これらの成績より、サルES細胞の内耳有毛細胞への分化誘導に最適の共培養細胞株としてST2細胞株を選定した。なお、マウスES細胞との共培養においても同様の成績が得られつつある〔日本発生生物学会2010(京都)、にて、In vitro differentiation of mouse embryonic stem cells into inner ear hair cells using stromal cellsとして発表予定〕。
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