2009 Fiscal Year Annual Research Report
涙液油層の動態解析法の開発と涙液油層動態決定因子の探索的研究
Project/Area Number |
21659402
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
横井 則彦 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 准教授 (60191491)
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Keywords | 涙液 / 油層 / レオロジー / 光干渉 / 生理学 |
Research Abstract |
本年度は、画像追跡法(cross-correlation)を用いた涙液油層伸展速度の計測法を確立するとともに、涙液の安定性を決定する要因を、その解析法を応用して調べた。具体的には、涙液油層観察装置(DR-1)を用いて涙液油層の観察所見をデジタル録画し、画像追跡法を用いて、涙液油層の上方向への移動距離の時間推移を求め、その実測値をレオロジーのVoigt modelに当てはめて、涙液油層の伸展初速度を測定する方法を確立した。その結果、今回確立したシステムで涙液油層の伸展初速度が測定可能であることが判明した。そこで、油層伸展速度の測定と同時に、開瞼を10秒維持させで涙液の自然破壊時間(Non-invasive breakup time : NIBUT)を測定し、涙液の安定性を決定する因子についての探索的研究を行った。具体的には、さまざまな涙液量の被検者(涙液減少型ドライアイ、健常眼、涙点プラグ後を含む)を対象に、涙液油層伸展初速度の測定、MBUTの計測、及び、涙液メニスカス曲率半径測定(涙液貯留量を反映)、フルオレセインbreakup time測定、角結膜上皮の障害スコアの評価、シルマー1テスト(反射性涙液分泌量の測定)を実施し、各検査結果の相関を調べた。その結果、すべての検査相互間において、有意な相関があることが分った。また、それらの検査結果を重回帰分析で検討した結果、涙液の安定性が涙液油層の伸展初速度と角結膜上皮障害スコアで決定されること、すなわち、油層の伸展初速度が大きいと安定性がよく、角結膜上皮障害が強いと安定性が悪いことが判明した。
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