2010 Fiscal Year Annual Research Report
腹腔鏡併用Hybrid NOTESを利用した一期的A型食道閉鎖症根治術の開発
Project/Area Number |
21659405
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩中 督 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90193755)
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Keywords | 小児 / 食道閉鎖症 / 低侵襲手術 / NOTES |
Research Abstract |
本研究の目的は,long gapのA型食道閉鎖症(以下,本症)に対して,腹腔鏡アプローチとNOTESアプローチのみを用いた新術式を開発することである.本術式の実現により,現在多段階手術が施行されている本症を一期的に根治することが可能となり,また,従来術式で必要とされる頸部切開や胸部切開が不要となる.また,術後GERDを防止するために噴門形成術も併施する方針であるため,wrapping施行後の胃を縦隔内に吊り上げ上部食道と吻合することとなり,以下の手順を考えている.(1)A型食道閉鎖症を模して腹腔鏡下に腹部食道を切離する.(2)食道閉鎖症術後にGERDを呈する児が多いため噴門形成術を施行しておく.(3)全胃吊り上げ縦隔内吻合ができるように胃を剥離しておく.(4)上部消化管内視鏡を挿入し,上部食道を切開して縦隔に入る.(5)縦隔を剥離し,食道裂孔を出口とする十分なスペースの縦隔トンネルを作成する.(6)噴門形成術後の全胃を上縦隔へ吊り上げる.(7)食道を吻合する. 上記術式の実現可能性をブタを用いて検証した.NOTESアプローチによる縦隔ルートの作成手法を確立することができたが,縦隔が狭く胃は大きいというブタの解剖学的特徴のため,縦隔ルートでの全胃吊り上げは断念した.代替として右胸腔ルートを採用し,同ルートでの全胃吊り上げに成功した.腹腔鏡手術開始から全胃吊り上げまでの最短時間は2時間30分であった.オリンパスメディカルシステムズ(株)が開発中の軟性鏡用縫合器BraceBar(薬事未承認,試作品)を用いて食道吻合を試み,上・下部食道を吻合することができた. 本研究では,腹腔鏡とNOTESのアプローチを用いた新術式によって,long gapのA型食道閉鎖症を一期的かつ低侵襲に根治できる可能性を示すことができた.食道吻合手技の簡素化と安全性の向上が今後の課題である.
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Research Products
(1 results)