2009 Fiscal Year Annual Research Report
類ケロイドマトリックス基材を用いた新規ケロイドモデルの開発
Project/Area Number |
21659409
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内藤 素子 Kyoto University, 医学研究科, 講師 (30378723)
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Keywords | 創傷治癒 / ケロイド |
Research Abstract |
ケロイドは、真皮内に過剰に蓄積した細胞マトリックスが病態の特徴である。申請者らは、そのマトリックスを用いてケロイド実験モデルを作成し、病因・病態の解明につなげることを目標とし、本年度は、まず、ケロイド組織におけるグリコサミノグリカン(以下GAG)の抽出、その種類の同定、ならびに定量化について実験を行った。ケロイド組織5例、および、正常皮膚組織5例よりGAG分解酵素により分解後、HPLCにて定量を行った。この結果、ケロイド組織におけるもっとも含有量が多いGAGは、コンドロイチン硫酸(以下CS)、ついでデルマタン硫酸(以下DS)であった。ケロイド組織の乾燥重量1mg中、平均含有量は、CSが4.13±1.05μg、DSが5.08±0.78μgであった。これに対して、正常皮膚では、乾燥重量1mgあたり、CSが0.34±0.13μg、DSは、0.99±021μgであった。したがって、ケロイド組織におけるCS、DSの含有量は、正常皮膚組織に比較して、CSは約12倍、DSは約5倍、多量であることが判明した。過去の報告から、正常皮膚における主なGAGとして、DSとHAが知られている。しかし、CSは、皮膚には少量しか含まれず、軟骨組織に大量に含有されるGAGとして知られている。ケロイド組織は硬く、割面は乳白色で光沢をもつ。患部は、本来皮膚がもつしなやかさが欠如しており、患部のひきつれや機能障害をもたらすが、このような特徴と、軟骨の主成分であるCSがケロイド組織に大量に存在する点は、一貫性がある。22年度に、症例数を追加して、データの再現性を確認する。また、本年度、試みた実験として、もう1点、ケロイド組織中のコラーゲンの定量化を実施した。こちらは、再現性のあるデータを得られなかったため、抽出方法ならびに定量方法の変更を検討し、22年度につなげる。
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