2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659427
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中島 友紀 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (00346959)
|
Keywords | 骨代謝学 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / カップリング / 骨リモデリング |
Research Abstract |
骨リモデリングにおいて破骨細胞の骨吸収に対し骨芽細胞は損失した骨量補い、一定の骨量を維持することから、これらの細胞の間には巧妙なコミュニケーション機構の存在が以前から想定さている。破骨細胞と骨芽細胞の共役状態が骨量の維持に重要である現状証拠は在るものの、依然としてこのカップリング因子の同定には至っていない。 本研究は、従来の網羅的ゲノムワイドスクリーニングに加え、分化マーカー発現細胞のビジュアル化と定量化を基盤とした網羅的な破骨・骨芽細胞機能アッセイシステムの構築から破骨細胞と骨芽細胞のカップリング分子を探索、さらに遺伝子改変マウス作出によりその機能を明らかにすることを目標にしている。本年度は、骨構成細胞の新規分化アッセイ系を用いて網羅的なスクリーニングを実施し、候補遺伝子の絞り込みを生化学的実験にて試みた。さらに遺伝子改変マウスの解析および新規遺伝子改変マウスの作成に取り組んだ。標的遺伝子KOマウスのin vivo解析から、骨量が顕著に減少している表現系を確認した。In vitro実験の結果、骨芽細胞の分化および機能低下と脂肪細胞分化への促進が見出された。さらに興味深いことに破骨細胞分化が顕著に促進されていることが見出され、当標的遺伝子が骨芽細胞を活性化し、破骨細胞を抑制することで骨リモデリング過程を骨形成に移行させる因子である可能性を見出した。現在、骨リモデリングを制御する分子で骨形成および骨破壊の両方に関与し、骨量を亢進させる分子は同定されておらず、今後、高齢化社会により益々増加する骨粗鬆症などの骨疾患治療を考える上でも重要な知見である。
|