2010 Fiscal Year Annual Research Report
軸策ガイダンス、セマフォリン分子による硬組織代謝細胞間制御機構の解明
Project/Area Number |
21659428
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
古賀 貴子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 客員助教 (90451905)
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Keywords | 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 骨代謝 / 細胞間相互作用 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
骨は骨吸収とそれに引き続く骨形成を繰り返し、再構築(骨リモデリング)することによってその恒常性を維持している。そのため骨リモデリング、特に骨吸収から骨形成への遷移は厳密に制御されており、これを担う骨基質中の因子や破骨細胞-骨芽細胞が発現する因子をカップリング因子と呼び、盛んに研究が行われてきた。しかし、骨粗鬆症等に代表される骨リモデリングの破綻が引き起こす骨量減少性疾患に対して、骨形成を促す有効な手段は未だ確立されていない。本研究は、神経軸策ガイダンス分子の一つ、セマフォリンファミリーに属するセマフォリン4D(Sema4D)が破骨細胞に特異的に高発現することを見出し、骨リモデリングにおけるSema4Dの機能を解析した。Sema4d欠損マウスは、破骨細胞分化や骨吸収には異常は見られず、骨芽細胞数と骨形成の増加による顕著な骨量増加を呈した。一方、骨芽細胞上にはSema4Dの受容体として知られるPlexin-B1の発現が分化に伴って増強し、Plexin-B1欠損マウスがSema4d欠損マウスと同様の骨量増加を示すことを見出した。Sema4DはPlexin-B1に依存して、small-GTPase RhoAの活性化を亢進させ、骨形成を阻害した。期待通り、dominant negative型のRhoAを骨芽細胞特異的に発現するRhoA DN^<OB>マウスはSema4DやPlexin-B1と類似の骨形成亢進による骨量増加を示した。また、RhoA DN^<OB>骨芽細胞の骨形成はもはやSema4Dによって阻害されることはなかった。さらに、Sema4D中和抗体が閉経後骨粗鬆症モデルマウスの骨量減少を予防することを明らかにした。本研究は、Sema4Dは骨リモデリングにおいて、破骨細胞が骨吸収を完遂するために骨形成を待機させる新たなカップリング因子として機能することを提唱し、骨形成を促進させる薬剤開発の重要なターゲットとなりうる可能性を示唆している。
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