2009 Fiscal Year Annual Research Report
補綴物の予知性を高めるための非外科的角化歯肉拡大法の開発
Project/Area Number |
21659441
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濱田 泰三 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 教授 (50034244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 正宏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00294570)
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Keywords | 角化歯肉 / 付着歯肉 / 補綴物の予後 |
Research Abstract |
角化歯肉幅を増大するためには,歯肉線維芽細胞の増殖と線維化を抑制することと同時に上皮角化歯肉の増殖を促進する薬剤を開発することが必要である。しかし歯肉中には線維芽細胞や上皮細胞以外からも血球系の細胞から放出される様々なケミカルメディエーターが存在する。これらのケミカルメディエーターを抑制する目的で既に開発されている薬剤を用いることは,in vitroでの線維芽細胞や上皮細胞への影響検討結果をin vivoヘトランスファーする際に,現実性が高いと考えられる。したがって,今年度は研究計画書に挙げた薬剤の中からキマーゼとその阻害薬やリザベン(化学名:トラニラスト)のヒト歯肉線維芽細胞への影響を検討した。 キマーゼそのものは水溶性の酵素で,若干の細胞増殖を認めた。キマーゼ阻害薬はDMSOにのみ溶解するがDMSOのみの添加群と比較して,影響を与えなかった。つまり,歯肉線維芽細胞自身がキマーゼを放出しないことが示唆され,またキマーゼ阻害薬自身0.1mg/mlまでの濃度では毒性も認められないことも示された。キマーゼが線維芽細胞の増殖を促進することは,これまでのプロコラーゲンの線維化を促進することと考えあわせると,血球系の細胞から放出されたキマーゼによって刺激された線維芽細q胞による線維化をキマーゼ阻害薬は細胞毒性無く抑制できることが示唆された。一方トラニラストはDMSOにのみ溶解するが,用量依存性に細胞増殖を抑制した。特に40microgram/ml以上では細胞障害性も認められた。つまりトラニラストは線維芽細胞の増殖を抑制し,遊走も抑制しうることから,上皮化には有利に働く可能性が示唆された。
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