2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659442
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 啓一 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 教授 (30178644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 康男 東北大学, 大学院・歯学研究科, 大学院非常勤講師 (50005039)
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Keywords | アレルギー / レジンモノマー / レジンアレルギー / 免疫学 / 薬理学 / アレルゲン |
Research Abstract |
レジンアレルギー(RA)の原因物質(アレルゲン)はレジンモノマー(RM)だと考えられている.しかし実験動物にRAを発症させることは難しく,これまで成功の報告はない.RMは強い刺激性/毒性を有し,塗布した部位に激しい組織障害を起こすが,アレルゲンとしての強さは極めて弱いものと考えられる.私達はRAの発症に酸化的環境の関与を想定し,過酸化水素とRMのひとつであるMMAを併用して,より温和な条件でマウスにRAを発症させることに成功した.この実験系ではMMAとして臨床で使用されている市販歯科材料を用いた.しかし研究用試薬の高純度MMAでは,同じ条件でもRAを起こすことができなかった.理由としては市販歯科杉料に含まれる"MMA以外のなんらかの物質"が実際のアレルゲンである可能性が想定される.つまり,RAの本当のアレルゲンはRMではなく,市販RM製品に含まれる未知の物質の可能性がある.この物質の探査はRAの問題解決に極めて重要であり,その可能性を探っているが,現在なお,その手がかりはない.前述のRM自体がアレルゲンになる可能性についても,研究用試薬の種々のRMを用いて,種々の条件で検討しているが,成功していない.この状況の中で,次の考えを抱くに至った."もしかしたらRMには,他のアレルゲンによるアレルギーを促進する作用もあるのではないか?"歯科が関連する重要なアレルゲンとして金属がある.そこで,この可能性を検証するため,これまでのRM自体のアレルゲンとしての可能性検討に加えて,現在,金属アレルギーに対するRMのアジュバントとしての効果についても検討を始めたところである.まだ結論づける段階ではないが,RMのひとつであるHEMAがNiアレルギーにおいてアジュバント効果を示す結果が得られ,再現性や条件を検討中である.
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