2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化チタンナノチューブ構造制御による新しい生体活性型インプラントの開発
Project/Area Number |
21659444
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
矢谷 博文 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 教授 (80174530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江草 宏 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30379078)
関野 徹 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (20226658)
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Keywords | チタン / ナノチューブ / 骨伝導 / インプラント |
Research Abstract |
近年,インプラント材料にナノテクノロジーを応用し,従来にない新しい機能性を見出そうとする研究が盛んにすすめられている。材料のナノ化およびその均質な形状の付与は,新規機能を発揮する可能性を秘めている。本研究の目的は,チタンインプラント表面に安価・容易な方法で「酸化チタンナノチューブ(TNT)」を合成し,この構造制御から新規機能性を付与することによって,生体内での骨結合獲得期間の短縮ならびに適応症の拡大を実現する新規機能性インプラントを開発することである。本年度は、低温化学合成法を用いてTNTのチタン金属上における析出条件を検討した。その結果、チタン金属を水酸化ナトリウム水溶液中で24時間以上処理した場合に高度な縦横比を示すチューブ構造が導かれ、72時間以上処理すると金属表面をTNT層で完全に覆うことが可能であることが明らかとなった。さらに、72時間処理したTNT上に成体ラット骨髄由来間葉系幹細胞を播種し、骨芽細胞分化誘導培地中にて1~3週間培養し、細胞の形態観察および試料表面の元素分析を経時的に行った。その結果、培養2週間後のTNT析出金属試料では、細胞は石灰化した骨芽細胞様の形態を示し、無処理チタン金属試料と比較してより多くのCaおよびPが検出された。したがって、チタン表面のTNTは骨芽細胞の分化に影響しており、新生骨の形成に有効である可能性が示唆された。この多量のCaおよびPの検出は、細胞の産生する細胞外基質に起因する可能性、および培地中のイオンをナノチューブが吸着することに起因している可能性が考えられる。したがって、TNTの骨芽細胞活性化に作用する因子が、TNTの形状・性質による直接的なものなのか、あるいは吸着したイオンが二次的に作用しているのかを今後検討していく必要があると考えている。
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Research Products
(2 results)