2009 Fiscal Year Annual Research Report
NBIによる口腔癌および口腔前癌病変のスクリーニング
Project/Area Number |
21659463
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
天笠 光雄 Tokyo Medical and Dental University, 医歯学総合研究科, 教授 (00014332)
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Keywords | NBI / 口腔癌 / 口腔前癌病変 / スクリーニング / 診断 |
Research Abstract |
Narrow Band Imaging(NBI)は2つの特定の帯域に狭められた光がヘモグロビンによって強く吸収され、血管と組織のコントラストが強調された画像が得られる。内視鏡を用いて観察されたモニター上では粘膜表層の毛細血管が茶色に、粘膜下内部の血管が青緑色に表示される。これまで上部消化管領域では、診断精度が95.1%との報告もある。一方、口腔領域においては、我々はヨード染色による染色域と低染色域の境界は、病理組織学的な境界とほぼ一致しており誤差の平均値は-0.65mm(「-」:染色域方向)と報告し、ヨード染色による境界を病変の境界と判定して差し支えないと判断した。そこで今回NBIによるスクリーニングとして、口腔癌検出の有用性について、ヨード染色と比較し、病変および病変周囲の色の変化および病理組織所見と対比検討を行った。 【対象】東京医科歯科大学歯学部附属病院顎顔面外科を受診し口腔扁平上皮癌(T1,T2)と診断された患者8名。 【方法】全身麻酔下手術の際、切除範囲決定の前にNBIで病変の境界と思われる領域にPyokutanin Blue(Methylrosanilium chroride)を用い印記した後、ヨード溶液で染色をおこなった。ヨード低染色域と染色域との境界も同様に印記し、その病変範囲の誤差を検討した。【結果】病理組織学的診断は、すべてSCCであった。またNBIによる境界線とヨード染色境界線とはほぼ同位置に確認された。【結果の重要性と今後の展望】ヨード染色法と比較し、患者の苦痛が少なくNBI検査は、癌の補助診断となり得る可能性があると共に、病変の境界を特定することにも有用かもしれないと思われた。しかし、血管の増生、走行の判別困難な症例もあり、今後口腔癌の診断および治療に役立てるべく研究を進めていく予定である。
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