2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659476
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三留 雅人 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50261318)
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Keywords | 歯髄 / 乳歯 / 歯髄幹細胞 / 脳・中枢 / 移植 / 再生医療 |
Research Abstract |
近年,細胞を使用した再生医療が注目を集めている。歯髄中にも幹細胞が存在することが示唆されてきたが,ヒトの脱落した乳歯歯髄の中から発見された幹細胞(stem cells from human exfoliated deciduous teeth : SHED,以下SHED)の多能性を検討した。最初に,歯髄細胞の多能性を検討するために,GFPマウスの門歯より採取した歯髄を培養した。培養した歯髄中において,神経幹細胞にみられるネスチンの発現がみられるかRT-PCR法によって調べた。その結果,培養された歯髄中においてネスチンの発現が認められ,歯髄中に神経細胞に化しうる幹細胞が存在することが判明した。同様の結果はヒト永久歯,乳歯,上顎正中過剰歯の歯髄においても認められ,現在これらの細胞を効率よく分離する方法を検討している。さらに,歯髄中の幹細胞が神経幹細胞に分化転換することを示すために,歯髄を神経幹細胞培養液で培養し,培養神経幹細胞が形成する浮遊細胞塊(Neurosphere)が得られるかどうか検討した。低接着性培養ディッシュを用いて乳歯歯髄細胞を培養すると,Neurosphere様の浮遊細胞塊が得られた。現在,この細胞浮遊塊が神経幹細胞の特徴を示すか検討中である。今回SHEDを含む乳歯歯髄細胞を培養し,STRO1陽性細胞を磁気作用により分離し,分離後さらに神経細胞培養溶液にて培養したところ,種々の神経細胞に分化することが判明した。これらの細胞をマウスの側脳室および小脳延髄槽に移植した。その結果移植歯髄細胞は,側脳室周辺や延髄孤束核への生着がみられニューロンに分化していることが明らかになった。今後は,移植した歯髄細胞の分化動態を調べ,機能的役割をはたしているか検討する予定である。
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