2011 Fiscal Year Annual Research Report
3次元培養システムを用いた歯周病とメタボリックシンドローム関連メカニズムの解明
Project/Area Number |
21659487
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
齋藤 俊行 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10170515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古堅 麗子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90253674)
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Keywords | 歯周病 / メタボリックシンドローム / 3次元培養 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
肥満がインスリン抵抗性を基盤として、糖尿病,高脂血症、高血圧といったメタボリックシンドロームを惹起することはよく知られている。また、低レベルの炎症が肥満に関連することが注目されてきており、歯周病もその候補と考えられている。近年、脂肪組織は単なるエネルギーの貯蔵器官ではなく、さまざまな活性物質が放出される内分泌器官として認識されつつあり、これらの脂肪組織から分泌される活性物質は、アディポカインと呼ばれ、様々な免疫・炎症調節作用を持つことが解明されつつある。我々が行った疫学調査では、歯周病でアディポカインの1つであるレジスチンの血清中レベルが高いとの結果を得ている。そのため、ます脂肪細胞とマクロファージの関連を調べるためにマクロファージ系細胞であるRaw細胞を脂肪細胞に分化させた3T3L1細胞と共培養し、各種条件下で大腸菌および歯周病原菌であるP.gingivalis LPSを添加し、各種サイトカインとレジスチン、アディポネクチンなどの各種アディポカイン濃度をELISAにて測定した。まず脂肪細胞単独では、E.coli LPSと比較してP.gingivalis LPS添加では、IL-6の上昇した量が少なかった。レジスチンは、上昇を認めたが、IL-6と比較するとわずかであり、E.coli LPSとP.gingivalis LPSでほとんど差を認めなかった。さらに、Raw細胞との共培養において、IL-6は、マクロファージとの共培養で産生量がさらに上昇したが、レジスチンでは同レベルか下がる傾向が認められたことから、IL-6とレジスチンの産生機構が異なることが示唆された。現在、共培養のプレートを3次元用プレートに変え、結果を解析中である。本研究で、歯周病関連細菌のアディポカイン産生への影響を細胞生物学的に検証することにより、歯周病が肥満およびメタボリックシンドロームへの関与のメカニズムの一端を解明できると考えられる。
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