2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659489
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
道脇 幸博 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (40157540)
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Keywords | 嚥下ロボット / 嚥下運動 / 医用工学 |
Research Abstract |
今年度は嚥下ロボットの中咽頭部分の製作に取りくんだ。中咽頭は収縮運動と短縮運動があり、また舌骨による前方への牽引も考えられる。そこでまず、収縮運動の再現を行った。 まず高速シネMRI(15fps,2.0秒間撮影)の水平断面で、中咽頭腔をトレースした。その結果、中咽頭腔の収縮は動作量が大きい順に、(A)前壁の後進、(B)左右の側壁からの収縮、(C)後壁の前進、の3種類の動きから成ることが分かった。 次に高速シネMRIで撮影した中咽頭腔の形状を参考にし、二液混合硬化型シリコーン(信越化学工業X-32-2428-4)で中咽頭の壁を作製した。中咽頭の前壁は舌根でもあるため、中咽頭の前壁を舌表面の薄膜シリコーンヘ、後壁を口蓋へ接着した。 中咽頭壁面の動きのうち、舌根の後進(A)は、圧縮バネで表面を押す機構とスライド機構により行った。 また、咽頭には、舌骨と甲状軟骨を始点とし咽頭の後方を取り巻くように走る中咽頭収縮筋と下咽頭収縮筋があり、これらの筋肉の収縮により咽頭が締め付けられ、後壁が前進(C)する。また、側壁の収縮(B)が後壁の前進(C)と区別されるほど大きい理由は、中咽頭収縮筋より内側の咽頭側壁付近を上下に走る口蓋咽頭筋ごと、中咽頭収縮筋が咽頭を締め付けるためであると考えられる。そこでロボットでは、図21、22のように、口蓋咽頭筋としてウレタンチューブを咽頭壁に貼り付け、中咽頭収縮筋としてワイヤを配置し、このワイヤを引っ張って咽頭を締め付け、(B)と(C)の動きを再現した。 このようにして中咽頭の収縮は再現できたので、今後は中咽頭腔の短縮と下咽頭の製作、食道との連結などの課題に取り組む予定である。
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