2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21659489
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
道脇 幸博 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (40157540)
|
Keywords | 嚥下 / ロボット / バイオメカニクス / サイエンスCG |
Research Abstract |
嚥下のバイオメカニクスを解明するためにヒューマノイド型嚥下ロボットを製作することが本研究の目的である。嚥下ロボットには構造データとして舌や軟口蓋、咽頭などの頭頸部器官の位置とサイズ、方向の立体データ、運動データとして嚥下時の各器官の動きの軌跡データが必要である。 本研究では、構造データはCTやMRIの分析、運動データはVFや嚥下内視鏡の解析から得た。材料としては、骨格系はプラスチック、舌はポリウレタン、咽頭壁はシリコンとした。舌の送り込み運動の再現に当たっては、人工舌に板バネを内臓させこれをMckibben型人工筋肉で連続的に牽引することで舌背の凹凸を波状に作り出した。その結果、人工舌はこんにゃくを咽頭まで送り込むことができた。この結果、嚥下運動のうち舌の送り込み運動はいわゆる進行波的波状運動と考えられた。 次に、咽頭の制作に移ったが、VF画像やcineMRIで咽頭壁の運動軌跡を分析することは困難であった。そこで、ロボットモデルを基にサイエンスCGを制作して、咽頭や喉頭の動きを画像化して、運動仮説の設計と検証材料とした。形態については、次に頭頸部のCTと解剖学的知見をもとに関連する器官と外舌筋、舌骨上筋群を製作した。運動については嚥下時の4次元cineMRIの分析結果とVF所見から得たデータをCG上に取り込んだ。最後に、形態と運動の両者を最適化してコンピュータ・グラフィックス上で再現し、VF画像やcineMRIと矛盾しないことを確認した。 CG上で科学的に可視化された舌の構造と運動は、嚥下時の舌運動の新たなモデルの着想に繋がり、動的バイオメカニクスの解明研究のために有用な素材となると考えられた。また今後のロボット制作のための基礎画像としても大変有用と考えられた。
|