2010 Fiscal Year Annual Research Report
リポソーム法を用いた口腔粘膜細胞からのiPS細胞作製技術の確立
Project/Area Number |
21659490
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
花田 信弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 義明 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (90350587)
今井 奬 鶴見大学, 歯学部, 講師 (80072958)
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Keywords | iPS細胞 / レトロウイルスベクター / リポソーム法 / Oct3/4 / Sox2 / Nanog / Klf4 / Lin28 |
Research Abstract |
iPS(Induced Pluripotency Stem Cell)は息者自身の細胞から誘導が可能であり、免疫拒絶や倫理的な問題を回避できるため歯学部においても歯や歯周組織の再生療法の素材として注目されている。しかし、iPS細胞の誘導にはレトロウイルスベクターを使用することから、安全性が担保されているとは言い難い。そこで、導入遺伝子の検討やベクターの改良などが行われているが、iPS細胞の誘導効率の低さが問題になっている。我々は、安全性が高いと考えられるリポソーム法を用いたiPS細胞の誘導が必要だと考えているが、本年度レトロウイルスベクターを使用する通法に従い、歯根膜繊維芽細胞からPS細胞を誘導したので報告する。 我々は歯根膜細胞に、Oct3/4, Sox2, Nanog, Klf4, Lin28の4つの遺伝子をレトロウイルスベクターを用い導入しiPS細胞の形態を持つ細胞(PDL-iPS)を樹立した。PDL-iPSをSCIDマウスに皮下注射し、テラトーマの形成を検討した。対照として歯根膜細胞(PDL)を同様の条件でSCIDマウス3匹に皮下注射した。 PDL-iPSをSCIDマウスの皮下に移植し、テラトーマを形成させた。顕微鏡切片を作製し鏡検すると内胚葉,中胚葉,外胚葉の三胚葉由来の胎児性組織および成熟性組織を含む腫瘍.軟骨・平滑筋・呼吸器・消化器・脳・神経組織などの構造が見られたので樹立したPDL-iPSはヒト歯根膜細胞から初めて作製されたiPS細胞であると結論づけた。 Oct3/4, Sox2, Nanog, Klf4, Lin28の4つの遺伝子をレトロウイルスベクターを用いて樹立したPDL-iPS移植後のテラトーマがリポソーム法でiPS化されたものとどのような違いをもつのかを調べるのは次の課題である。
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