2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の精神機能を高める看護コミュニケーション・スキルの開発
Project/Area Number |
21659491
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮島 直子 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 准教授 (60229854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片丸 美恵 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 助教 (00451401)
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Keywords | コミュニケーション・スキル / 高齢者 / 精神機能 |
Research Abstract |
高齢者とのコミュニケーションの経験が豊富である看護師を対象に、下記の調査を実施した。 1.調査対象者について 1)調査対象者数:20名、2)性別:女性、3)年齢:30代~40代、4)勤務年数:10年以上 2.調査内容について (1)高齢者とのコミュニケーション場面についての質問紙調査 (2)設定した模擬場面でのロールプレイ内容(画像、音声) 設定した模擬場面は以下の7場面である。 場面1:はじめの挨拶、場面2:食事の声がけ、場面3:トイレへの促し、場面4:入浴の声がけ、場面5:散歩の誘い、場面6:レクリェーションへの参加の促し、場面7:おわり(帰り)の挨拶 それぞれの場面では、普段の対象者とのコミュニケーションを極力再現してもらうように依頼した。 (3)(2)と同様の7場面であるが、研究者が事前に作成したセリフで話してもらった音声 (4)高齢者とのコミュニケーションにおける経験や自分なりの工夫点についてのインタビュー 3.結果 高齢者とのコミュニケーションにおいては、聴覚・視覚機能及び認知機能の低下に対する言語的・非言語的配慮がなされていた。更にそれらの配慮は、対象者の反応をアセスメントしながら調整されていた。また身体機能の特徴への対応だけではなく、心理社会的側面への配慮として、高齢者を人生の先輩として敬う態度が強調されていた。対象者の人生経験から、対象者の興味・関心を捉え、そこに焦点を当てたコミュニケーション内容の選択や、対象者から聞かれる同じ内容の話の繰り返しに対して、常に強い興味・関心を示すという努力もなされていた。調査対象者からは、高齢者とのコミュニケーションで「学ばせてもらっている」という発言も複数聞かれ、コミュニケーション関係において高齢者は、「看護を受ける者」という立場に「人生の先輩として、自らの経験を伝える者」という新たな役割を担ったと見なすことができる。その他の、特徴として、嚥下機能の低下に着目し、食事の際には、返答を求める会話をしないという、高齢者の安全面への配慮もなされていた。 高齢者とのコミュニケーション・スキルは、看護師に意識されずに臨床経験を積む中で自然と身についたスキルと考えられた。そして、これらのスキルを明確にしていくことの重要性が再確認された。
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