2011 Fiscal Year Annual Research Report
感染予防のための地域医療施設間のケアネットワークと感染制御教育プログラムの開発
Project/Area Number |
21659498
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
南家 貴美代 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (80264315)
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Keywords | 感染管理 / 感染予防教育 / 中小規模医療施設 / 感染予防教育プログラム |
Research Abstract |
中小規模医療施設における感染管理の実態と問題点を把握することを目的とし、感染管理に責任ある立場の看護師を対象に面接調査を実施した。調査対象施設は9施設であり、病床数は40~208床であった。9施設中2施設では感染管理に関する専門職者は不在であったが、7施設には、インフェクションコントロールドクターや感染管理認定看護師などの感染に関する専門職者が常勤していた。すべての施設が感染対策チームを組織しており、1~2回/月の病棟や外来を中心とした施設内ラウンドを行っていた。感染管理に関する研修会も2回/年以上開催されており、同一内容の研修会の複数回開催や資料の回覧など参加率を高めるための取り組みや、講義の他に演習を取り入れるなど教育効果を高める工夫を行っていた。しかし、感染管理は清掃や事務に携わる職種にも必要なことであるとの認識がある一方で、医療職者以外の職種への教育は責任の所在も含めて、不十分であることが示された。職員の感染予防行動の評価については、多くの施設がリンクナースや各部署での感染委員を養成し、各病棟や部署での感染管理、スタッフ指導や評価に携わるような体制を取っていたが、リンクナースや感染委員が数年おきに替わることや役割が明確になっていないなど、十分に機能していない施設もあらた。さらに、疥癬がひどくなってから受診する住民がいるなど、地域住民を対象とした感染管理教育の必要性についても語られていた。 以上のことから、組織の感染管理体制の整備は整いつつあるが、職員一人一人の感染管理能力や行動変容については把握できていない状況であることや、派遣職員や地域住民を対象とした感染管理教育の必要性は感じているものの実施が出来ていない状況であることが明らかになった。 ネットワークを通じて感染予防教育を実施するにあたり、具体的な感染予防行動や看護ケア方法の他に評価方法についての情報提供や、事務職や清掃担当など医療職者以外の職種へ向けた教育、地域住民向けの疥癬やノロウイルスへの対応などの指導が必要であると考えられた。
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Research Products
(1 results)