Research Abstract |
児童虐待の相談件数は,わが国においても年々増加しており,なかでも性的虐待は被虐待者に深刻な影響を及ぼしている。性的虐待では,その加害者のほとんどが顔見知りであるため,被虐待者に無力感,自責の念,自己嫌悪感,あるいはセクシュアリティの混乱を招き,さらには,ひきこもり,うつ状態,拒食・過食,自傷行為,動物や年少の子どもへの暴力行為へとエスカレートさせる危険性があることが報告されている。このような被害ならびに被害の連鎖を未然に防ぐためには,幼い頃から性に関する正しい知識を身につけ,子ども自身の自尊感情や自身で健康を守る力(性感染症の予防を含む),および性的虐待を予防する力を育むことが重要である。本研究では,西宮市保健所の協力のもと,当該地域に在住する小学生とその保護者を対象に,児童虐待予防をめざした性教育プログラムを開発し,その有効性について検証することを目的とした。今年度は,本研究の趣旨説明に同意の得られた小学生とその保護者を対象に,開発した性教育プログラムを実施し,性教育プログラム実施前後で調査を行った。調査内容は,男女の性の知識に関する理解の程度,性の境界線(プライベートゾーン)の認知の程度,性の知識に関する情報源,性に関する親子の話し合いの程度などである。さらに,平成22年度に,実施後の児童の性に関する認識の変化について,フォローアップ調査を実施する予定であり,それらの調査終了後に,データを分析中する予定である。
|