Research Abstract |
本研究の目的は,高齢者が「家庭用健康ゲーム・ソフト」を利用することの有用性と安全性を相対的に評価し,新たな健康づくりのプログラムを提案することである。本年度は「家庭用健康ゲーム・ソフト」の有用性および安全性に関する評価指標を文献検討および予備調査により検討した。 予備調査は「家庭用健康ゲーム・ソフト」を使用した際の安全性が,高齢者より高いと推察される壮年期の成人と健康状態が良好な前期高齢者を合わせて計8名(男性3名,女性5名,平均年齢55.5±8.8歳,範囲48-73歳)を対象とした。対象者に任天堂の家庭用テレビゲーム(Wii)とソフト(Wii Fit Plus, Wii Spots Wii Spots Resort)を継続的に体験してもらい,(1)体験ごとに体調,気分,実施内容の記録,(3)体験前の質問紙調査とインタビュー,(2)体験3ヶ月目の質問紙調査とインタビューから,有用性と安全性に関するデータを収集し分析した。 その結果,有用性の評価指標として,身体機能の維持・改善,運動耐性低下の予防,心肺機能の改善,運動継続に必要な意欲,精神面の賦活,人的な交流,集中力の維持・改善,操作の簡便性,安価などの要素が,また安全性の評価指標として,運動負荷による冠動脈危険因子への影響,転倒・転落事故の危険性,急性運動機能障害,慢性運動機能障害,眼精疲労,夢中になり過ぎることや長時間の使用による弊害,周囲への注意喚起などの要素が抽出された。次年度は高齢者の特性を考慮しながら,これらの要素を整理して評価指標を作成するとともに,テレビゲームやソフトを高齢者が利用する際の基準,特に説明方法や利用上の安全対策について再検討した後,本調査を実施する。
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