2011 Fiscal Year Annual Research Report
若年認知症者における就労型デイサービスの効果ー参加者間の相互作用とBPSDー
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21659539
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
千葉 京子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (40248969)
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Keywords | 若年性 / 認知症 / 看護 / 相互作用 / BPSD / 本来感 |
Research Abstract |
本研究の目的は、就労型・地域型活動に参加する若年認知症者間および若年認知症者-スタッフ間でどのような相互作用がおこなわれているかを明らかにすることである。フィールドは、若年認知症者の社会参加を支援する「活動の場とした。研究参加者は(1)若年認知症者、(2)スタッフ、(3)配偶者、である。データ収集は参加観察と個別インタビューの継続と録画を実施した。研究成果の1点目は、個別インタビューの分析により若年認知症者が「活動」にどのような思いを抱いているかを明らかにした。「活動」への参加は配偶者の勧めであり、認知症者がいる場に自分が参加することの違和感を感じていた。しかし、社会から孤立化することへの恐怖や、「活動」が就労につながることを期待する思いを抱いていた。やがて、他のメンバーに対してつながりを感じ、講演会等で自らの病いを話す「活動」を行うのは、若年認知症を社会に啓蒙する必要性を認識しているからであることが明らかとなった。若年認知症者の固有性を生かしたケア提供者の関わりにより当事者自身の本来感が高まり、精神的健康を得ていると考える。その効果としてBPSDが生じる場面はなかった。固有性を生かした具体的な支援の内容は、(1)固有能力に合わせた活動の選択、(2)細やかな作業指示、(3)作品作成を通して固有能力の肯定的評価、(4)ユーモアを活用した開放感の提供と考える。2点目は、22年度に報告した「安定化した相互作用」場面を取り上げ、どのように相互作用を行っているかを検討した。録画したデータを会話分析した結果、若年認知症者は面子を保つパッシングを行っており、ケア提供者は若年認知症者の面子を保つために行う丁寧な配慮としてパッシングケアを行っていた。以上より、コミュニケーション障害をもつ若年認知症者の相互作用の構造と秩序の一部を明らかにした。本研究の成果は、患者参加という視点から若年認知症者とケア提供者とのコミュニケーション実践の発展に役立つと考える。
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Research Products
(3 results)