2011 Fiscal Year Annual Research Report
高精度地盤構造推定のための微動・重力・磁気の統合観測システムと同時逆解析法の開発
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21671003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
盛川 仁 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60273463)
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Keywords | 微動探査 / 重力探査 / 磁気探査 / 同時逆解析 / 基盤構造 |
Research Abstract |
昨年度までの検討により,当初から導入していた重力計用のセンサーは感度は十分であるが,移動体に搭載した際にダイナミックレンジが不足する可能性が明らかとなった。そのため新たにデジタル領域でフィードバック制御を行うまったく新しい仕組みを有するデジタルサーボセンサーを開発し,従来から用いていたセンサーとともに比較,性能試験を実施した。その結果,新型センサーは十分な性能を有することが明らかとなったが,制御のためのアルゴリズムについては改良の余地があることもわかった。 加速度センサーの出力から重力変化のみを抽出する手法について,ウェーブレット解析,ブラインド信号源分離(BSS),経験的モード分解法(EMD)を応用した手法をそれぞれ検討した。その結果,いずれの手法もある一定以上の性能を発揮することができて重力変化をある程度は抽出できることがわかった。しかし,いずれの方法にも長所短所があることも明らかとなった。 一方,観測記録の解析手法については,昨年度までに微動と重力の併合処理についてのアルゴリズムを検討してきたが,引続いて微動と重力のデータから3次元多層構造を推定する手法を開発した。現時点では,汎用性と逆解析の安定性にまだ問題があるため引き続き検討を続ける。また,磁気と重力の併合処理によって,密度境界を検出する手法を完成した。これは従来提案されていたChandler et al.の手法を大幅に改良し,密度境界の位置の判定のための分解能は高く,しかし大きな密度変化のみを検出できるように密度異常に対する感度を低く,という相反する要求を満たす手法とした。この手法を実データに応用した結果,地質断面との対応も非常によく,妥当と思われる結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微動,重力,磁気の3つの異なる物理量を併合処理するための解析法を確立することが本研究の目標であるが,重力測定用センサーが当初予定していたセンサーの供給が受けられず,結果的に新規開発することとなったため性能試験が遅れ気味である。しかし,代替センサーを用いて予定された研究は行っているため,検討すべき研究課題はほぼ予定どおり進んでいる。解析法についても微動と重力,重力と磁気という2つづつの組合わせについてはほぼ予定通りの成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定には含まれていなかったが,新規開発した重力測定用センサーの性能試験を継続し,改良をすすめる。センサーの性能が明らかになった時点で現在使用しているセンサーと新型センサーを入れ替えて実験を継続する。また,移動体への搭載して重力と磁気の同時測定実験に着手する。移動体の運動履歴の計測のために新たにジャイロを導入して精度のさらなる向上を目指す。解析手法の開発においては,当初からの目標であった微動,重力,磁気の3つの異なる物理量の併合処理のための手法の開発に着手する。これらの成果をがまとまった時点で実際にフィールドにおいて無線誘導ヘリコプターにセンサー類を搭載して記録をとってそのデータの解析をすることで手法の妥当性を検証する。
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Research Products
(7 results)