Research Abstract |
平成24年度には, 実際に無人ヘリコプターに各種センサーを搭載して大型重力式ダムの上を飛行する, という実験を行い, 理論的に予想される重力と磁気の変化が観測されることが確かめられた。これにより, 測定方法とデータ処理の妥当性が確認されたため平成25年度はより実際的な物理探査を実施した。具体的には, 大型船にセンサーを搭載して外洋を航海してデータを収集し, 既知の重力変化との整合性を検討した。また, 観測値から重力変化を抽出する手法について, 異なる二つの非線形時系列解析手法を組み合わせ, 制約条件として既知データを利用する手法を新たに開発してさらなる精度の向上を実現した。また, 測定開始前後にセンサーを水平状態にして水平時の記録をとることで水平状態のキャリブレーションを行い, 移動時のセンサーの傾斜情報を正しく解析に反映させることができた。 一方, 解析法については前年度までにおよその枠組みができていた微動, 重力, 磁気の併合処理手法を完成させた。このために, 異なる2つのアプローチによって解を得た。ひとつは重力と磁気の記録をポアソンの式に基づいて同時解析して密度変化の急変部を抽出しいくつかの部分にわけ, 各部分ごとに微動を用いて浅部構造を, 重力を用いて深部構造を決定する, という手法である。この手法を鳥取平野に適用して妥当な結果が得られた。もうひとつは, 微動, 重力, 磁気のデータを同時に逆解析するというもので, 理論的に求められる感度行列を用いて最適な地盤構造を推定する手法である。この手法については数値計算によって手法の妥当性を確認した。 また, これらの成果は国際会議において特別セッションを提案して認められたため, すべてをまとめて報告した。また, 研究者以外の聴衆も集まる研究会において本研究の成果を報告した。これらの活動により, 国際的な学問の場だけでなく, 一般社会への周知も広く行った。
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