2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムワイドな遺伝子ネットワーク解析による脊索動物の発生と進化のシステム的理解
Project/Area Number |
21671004
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 ゆたか 京都大学, 理学研究科, 准教授 (40314174)
|
Keywords | ホヤ / 遺伝子調節ネットワーク / ゲノム |
Research Abstract |
本研究はホヤ胚を用いて発生を支配する遺伝子ネットワークを理解しようというものである。本年度の研究内容を項目別に分けて記す。 (1) 母性因子によってどのように胚性の調節因子の発現が制御され16細胞期で特定のパターンを作り出すのか、を調べるため、8~16細胞期で特異的に発現を開始する遺伝子のプロモーター解析を行った。対象とする16個の遺伝子のうち5個の解析をほぼ終えた。今後はここで明らかになったメカニズムが残りの11個の遺伝子にも当てはまるのか、どうか調べ、母性因子による胚性の遺伝子ネットワークの開始機構の全体像を明らかにする必要がある。 (2) 母性因子の転写調節機構を網羅的に明らかにするため、特に重要な働きをすることが明らかになっている母性転写因子5個について、ポリクローナル抗体を作成し、免疫沈降実験を行った。5因子のうち3因子の解析が完了した。 (3) 初期胚での遺伝子発現の全体像を明らかにするため、昨年度に引き続き、初期胚の単一割球を単離し、マイクロアレイで解析する実験を進めた。16細胞期のすべてと、32細胞期胚の7割球対(全部で16割球対)について解析を終えた。16細胞期で割球特異的に発現をする遺伝子のいくつかについて、機能の解析を進め、割球特異的に細胞の分裂に関わる因子を同定した。 (4) 32細胞期の遺伝子の発現パターンはそれ以前の胚における遺伝子発現を基に決まる。以上の結果を基に論理的に可能な制御関係を洗い出し、その関係があるのか無いのか、実際に調べた。動物極側割球の発現について特に解析を進めており、その分子メカニズムが網羅的に明らかになりつつある。 (5) 以上の情報を統合して理解し、その成果を公開するための手段として、これまでに開発したGhostデータベースの拡充を図った。
|