2011 Fiscal Year Annual Research Report
海外引揚問題と戦後東アジアの地域変動に関する国際的総合研究
Project/Area Number |
21672001
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
加藤 聖文 国文学研究資料館, 研究部, 助教 (70353414)
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Keywords | 日本近現代史 / 東アジア / 海外引揚 / 国際関係 / 韓国 / 中国 / 台湾 / ソ連 |
Research Abstract |
研究開始から3年目にあたる2011年度は、資料調査と収集を引き続き継続した。なかでも、ロシアでの調査を本格化させ、研究進展の足がかりを得た。 研究計画の中核である資料調査については、まず海外ではロシア国防省中央公文書館および外交政策公文書館での閲覧許可を得、今後の調査研究の見通しを立てることが出来た。なかでも国防省では公開制限が厳しい中、満洲での関東軍の降伏に関する文書を閲覧することができたことは大きな収穫であった。また、スウェーデン国立公文書館では日ソ交渉に関わるスウェーデン政府文書を調査し、利益代表国経由の交渉過程が明らかになった。この他、米国・スイス等で収集してきた文書記録の整理・翻訳、解析を行い、国際的な全貌が徐々に明らかになりつつある。この他、ベトナム第2文書館(ホーチミン)を訪問し、日本関係文書の所在情報の提供を受けた。さらに、現地調査として、8月に中国東北の開拓団跡地および葫蘆島での現地調査も行った。 国内では、北海道・福岡・山形・新潟などでの資料調査を行い、とくに本年度は開拓団関係の資料収集に力を入れた。この他、聞き取り調査では、朝鮮半島引揚者を中心とした口述記録の収集を行った。また、聞き取り調査に関しては、方法論を論文として発表した。 この他、資料収集として、最後の関東州庁長官であった今吉敏雄の個人文書を収集し、仮目録の作成を行った。また、引揚関係文献の収集も継続して行い、とくに開拓団関係の書籍については、データベースの作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画当初から課題となっていたロシア調査の見通しが立ったことが大きな進展である。ただし、今後の成り行きでは、依然として不透明な点も多く、楽観視はできない。この他の調査については、資料収集が予想以上に進んでおり、計画以上の成果が挙げられている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの資料調査を中心としつつ、収集してきた資料の解析とWEBでの公開に力を入れる。とくに今春にはWEBサイトを開設し、広く情報提供を進めていきたい。
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Research Products
(1 results)