2011 Fiscal Year Annual Research Report
代数多様体の数論幾何的予想の解決に向けた戦略的研究
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21674001
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
坂内 健一 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (90343201)
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Keywords | 楕円曲線 / 虚数情報 / Hecke指標 / ポリログ / p進L関数 / p進Beilinson予想 / 国際研究者交流 / ドイツ |
Research Abstract |
今年度は、当初、大槻玲氏、中村健太郎氏、萩原啓氏の合計3名をボスドクとして雇用して研究を進めた。研究代表者は連携研究者であるG.Kings氏(Regensburg大学)との虚2次体のHecke指標に関するp進Beilinson予想に関する共著論文を出版した。中村健太郎氏は、Zariski稠密性に関する研究の概説を論文として出版した。萩原啓氏が今年度9月より北大の研究員、中村健太郎氏が今年度11月より北大の特任助教として採用されたことを受けて、年度途中に研究体制の再編成を行った。萩原啓氏、中村健太郎氏は慶應理工の訪問研究者として本研究課題の遂行に関わっていただく傍ら、Siegel保型形式やHilbert保型形式の専門家である長谷川泰子氏、高井勇輝氏を新たに雇用した。今年度中の最大の成果は、本研究課題の念願でもあった、より高次元の場合(正確には、Hilbertモジュラーな場合)のEisenstein類の具体的な記述について、極めて有望な候補を発見することに成功したことである。この成果により、今後、より高次元の場合の研究に新たな発展が見込まれる。 今年度3月に2週間程度、研究集会出席およびKings氏と研究打ち合わせをするためにドイツに渡航した。また、3月に招聘予定の研究者が来日を中止したため、syntomic cohomologyに関する知見を得る機会を失った。従って、該当予算を平成24年度まで繰り越して、申請者が国外出張をして情報収集を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の予測される研究活動を滞りなく行うことができた。と同時に、本研究課題の研究計画のうち、研究が非常に理想的な状況で進んだ場合の期待される成果である、より高次元のEisenstein類の構造の解明への第1歩を達成することに成功した。本研究課題は、仮にこの方向の研究が達成できなくても十分価値があるとしていたが、さらにこの方向の研究で何か非自明なことを達成することができれば、非常に画期的である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を当初の予定通り、楕円曲線の場合のポリログの具体的表示を求めたことの帰結を網羅的に研究し続けると同時に、Hilbert modularの場合に得られたEisenstein類の構造の候補に関する研究をより深め、候補と思われる表示が本当にEisenstein類の実現を与えているかを検討して行く。
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Research Products
(12 results)