2011 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質化学に立脚した革新的生細胞内分子分析法の創製
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21675001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 岳昌 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40302806)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 可視化 / ナノバイオ / 光スイッチ / バイオテクノロジー / 酵素反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
内在性mRNAの1分子可視化検出が可能で,細胞内で遺伝子工学的に産生できるプローブ分子を開発した.本プローブは,緑色蛍光タンパク質(EGFP)のN末端断片およびC末端断片をそれぞれ異なるPumilio相同ドメイン(Pum-HD)変異体に結合した,2つの融合タンパク質からなる.プローブが目的mRNAに結合すると,2つのEGFP断片が近接し,再構成することで蛍光が回復する.開発したプローブにより,β―アクチンmRNA1分子の可視化に成功した.さらに,微小管上を輸送されるβ-アクチンmRNA動態の可視化に成功した. 鉄道虫由来のルシフェラーゼを内部標準に用いて,GPCR 活性化の検出系の精度を大幅に向上させた.ルシフェラーゼ断片を連結した GPCR および β-アレスチンと共に鉄道虫ルシフェラーゼを安定的に発現する細胞株を樹立し,GPCR–β-アレスチン間のタンパク質間相互作用を定量検出した.我々は,4種のGPCR(β2-アドレナリン受容体,α2-アドレナリン受容体,エンドセリン受容体タイプA,μ-オピオイド受容体)に対して,リガンド濃度依存的な活性化を高精度で発光検出することに成功した. 新規SUMO化タンパク質を同定するために, 蛍光タンパク質再構成の原理を用いて, 生きた細胞中でSUMO化を光シグナルで捉える手法を開発した. この原理を用いて網羅的にSUMO化候補タンパク質をスクリーニングする方法を確立するために, FACSを用いた. スクリーニングの対象としてマウスの遺伝子ライブラリを選択し, ライブラリそれぞれの未知タンパク質に対して分割蛍光タンパク質を繋げたシリーズを作製した. そのシリーズを細胞に導入しFACSで蛍光性細胞を単離することで, SUMO化タンパク質の候補を含む細胞群を回収した. その結果, 33個のSUMO化タンパク質候補の同定に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は,タンパク質の構造と機能に関する情報を最大限に活用し,生体分子を光分析する独自の機能性タンパク質を創出する基盤技術の確立を目的としている.3つの研究課題,1)生きた細胞や生物個体内の生体分子の機能と動態を可視化する分子プローブの開発,2)細胞内シグナル伝達に関与する新規分子種同定法,3)生体分子の機能を時空間制御する機能性分子材料の開発,の進捗状況は各課題で異なるが,概ね当初の計画通りに進んでいる.さらに,これまで得られた成果を基に,更に新たな基礎研究課題,技術・方法の開発,応用研究,展開研究,発展研究課題等が産まれ,本課題と平行して研究を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
課題1)ルシフェラーゼ再構成法を利用したタンパク質間相互作用の検出法の応用例を実証する.細胞内シグナルに関与する重要なタンパク質間相互作用に焦点を絞り実践する.特に発光シグナルのS/N比が10倍以上の優れた相互作用については,ケミカルライブラリースクリーニング用細胞の樹立や,ライブイメージングへの展開を図る.課題2)これまでにSUMO化修飾を受ける新規タンパク質の候補が15種類見つかっている.この15種類について,全長の遺伝子が入手できるものに限り,実際にSUMO化が細胞内でおきるかどうかを生化学的に再検証する.次に,SUMO化が受けることが解ったタンパク質について,SUMO化修飾を受けるアミノ酸を同定する.課題3)Akt/PKB光反応を利用した生命科学研究への応用,3B)キナーゼタンパク質の光制御の展開研究,を遂行する.
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Research Products
(29 results)