2012 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質化学に立脚した革新的生細胞内分子分析法の創製
Project/Area Number |
21675001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 岳昌 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (40302806)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | 可視化 / ナノバイオ / 光スイッチ / バイオテクノロジー / 酵素反応 |
Research Abstract |
GPCRとアレスチンとの相互作用を, 分割ルシフェラーゼの再構成法により可視化する技術を開発した. リガンド刺激時に, バックグラウンド発光の10倍以上のシグナルが得られることを示した. 培養細胞を用いて, リガンド選択性をハイスループットに検出できることを実証した. さらに, 開発したプローブをマウス肝臓に発現させ, マウス個体から低侵襲的にGPCR-アレスチン相互作用を可視化できることを示した. ユビキチン修飾(SUMO化修飾)を受けるタンパク質の網羅的同定法を開発し, これまでにSUMO化修飾を受ける新規タンパク質の候補を同定している. このタンパク質の一つであるATAC2に着目し, その構造および機能解析を行った. ATAC2をコードする遺伝子をcDNAライブラリーから取得した. この遺伝子を大腸菌発現ベクターならびに動物細胞発現ベクターに組み込んだ. SUMO化コンセンサス配列からSUMO化を受ける可能性があるアミノ酸を特定し, そのAla置換体を作製した. Akt/PKBを光制御するタンパク質モジュールの開発に成功している. 本年度は, Akt/PKB光制御系を用いて, シグナルの下流分子であるFOXO1転写因子の核内外シャトリングをイメージングにより解析した. FOXO1の細胞内動態は, 赤色蛍光タンパク質RFPにより解析した. 光パルス幅及び強度を変化させたところ, FOXO1の核外移行を観察することに成功した. さらに, この核外移行は時間経過とともに自発的に核内に戻り, さらに周期的に核内外を移行することを発見した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分割蛍光タンパク質ならびに発光タンパク質の再構成技術は, GPCRシグナルやRNAをモデルとして, 期待以上の成果を得ている. また, 光制御実験では, FOXO1が核内外を周期的に移行するという興味深い知見を得ることに成功しており, 数理モデル構築への展開に発展している. 一方, SUMO化修飾タンパク質の網羅解析法では, 新規SUMO化タンパク質の機能解析で若干の遅れが生じている. これは, 予期しない現象を見出しており, その理由解明に時間を費やしていることが原因である. データの解釈に対し慎重に進めており, 近い将来原因解明に至ると期待している.
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Strategy for Future Research Activity |
分割蛍光タンパク質・発光タンパク質の再構成技術を応用した研究の敷衍性を更に追究し, 一般応用可能であることを実証する段階にある. ユビキチン修飾(SUMO化修飾)を受けるタンパク質の網羅的同定法は, SUMO化修飾を受けたタンパク質の解析を進める. SUMO化修飾部位ならびに細胞内におけるその機能を追究し, 開発した同定技術の汎用性を立証する. Akt/PKBの光刺激実験では, FOXO1ダイナミクスで予期せぬ発見に至っている. 数理モデル解析を含め, その現象の意義探求を行う. また, 他のリン酸化酵素にも開発した光操作技術が応用可能であることを実証する.
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