2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21675002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊丹 健一郎 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (80311728)
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Keywords | 炭素水素結合変換 / 新反応 / 新触媒 / 機能性有機材料 / 医農薬 / カーボンナノチューブ / 天然有機化合物 |
Research Abstract |
本研究では、「炭素-水素結合の直接化学変換」をキーワードにした分野横断型合成化学研究を、方法論に重点をおく2課題(新反応・新触媒開発、有機材料・医農薬合成)と標的物質に重点をおく2課題(カーボンナノチューブ合成、複雑天然物合成)によって推進する。各課題のH22年度の成果は以下の通りである。 (1) 新反応・新触媒開発 C-H結合変換に基づく芳香環連結を促進する新触媒の開発を行った。 チオフェンやチアゾールの直接アリール化において極めてユニークな位置選択性を有する2つの新規なパラジウム触媒を開発することに成功した。 (2) 有機材料・医農薬合成 前述した新規なパラジウム触媒反応を用いることで、Merck社から報告されているアルツハイマー病の治療薬のリード化合物であるSCH-785532(類縁体)の短工程合成法を確立することに成功した。 (3) カーボンナノチューブ合成 アームチェア型カーボンナノチューブの最短部分骨格であるシクロパラフェニレン(カーボンナノリング)の環サイズ選択的合成法および安価なニッケル錯体を用いた大量合成法の開発に成功した。また、シクロパラフェニレンのX線結晶構造解析に世界で初めて成功し、その特異な分子構造を明らかにした。 (4) 複雑天然物合成 インドールとピリジンN-オキシドのC-H/C-H直接連結反応を開発した。さらに開発した反応を用い、DNA結合活性を有する天然物Eudistomin Uの合成に成功した。
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