2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21675003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金原 数 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30282578)
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Keywords | 分子機械 / 触媒 / 生体分子機械 / PEG / PYP / 両親媒性分子 |
Research Abstract |
1)フォトクロミック分子として代表的な分子であるアゾベンゼンを含むジイミン型配位子を設計、合成した。この配位子をPdCl(Me)(cod)と混合することにより、目的とするPd(II)錯体を得ることに成功した。このPd(II)錯体の触媒活性について、ジアリルマロネートをモノマーとした開環重合を検討しところ、トランス体錯体は、重合活性を示し対応するポリマーを与えることを見いだした。 2)テトラエチレングリコール(TEG)とペンタエリスリトールを構成要素に用いた環状の構造化PEG分子を合成した。この環状PEG分子は、水溶性を有し、温度に応答してコンホメーション変化を起こすという興味深い性質を有することが分かった。さらにこの分子が水中でタンパク質と相互作用し、リゾチームに対し顕著な凝集抑制効果を持つことが分かった。構造化PEGがタンパク質操作のための新たな分子ツールとしての候補分子となることを見出した。 3)膜貫型タンパク質の構造的特徴を取り入れたマルチブロック両親媒性オリゴマーを合成し、高次構造形成により機能を発現するような新たな機能分子の創製を目指した。その結果、8PEB部を導入することにより、低濃度でもBPEB部が相互作用し膜貫型タンパク質と類似した構造をとっていることが強く示唆された。 4)光応答性蛋白質PYPは、紅色光合成細菌Ectothiorhodospira halophilaから単離された光受容蛋白質である。PYPを光受容ドメインとして自己集積型の目的蛋白質に融合することで、目的蛋白質の機能発現を、PYPの動きにより人工的に光制御できるのではないかと考えた。そこで、黄色ブドウ球菌由来毒素α-hemolysin(Hla)をターゲットとし、PYP融合Hlaの光による機能制御について検討したところ、溶血活性を光により制御できることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)アゾベンゼンを有する配位子の合成に成功した。 (2)テトラエチレングリコール部位をユニットとして有する構造化PEGの合成に成功した。 (3)蛍光性芳香族部位を有する交互両親媒性分子の合成に成功した。 (4)PYPを利用したヘモリジンの活性制御に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ジチエニルエテンを有する配位子の合成 (2)テトラエチレングリコール部位有する2次元構造化PEG分子の機能開拓 (3)アゾベンゼン部位を有する交互両親媒性分子の合成 (4)PYPを利用したタンパク質の機能制御 以上を検討することにより、分子の歪みを利用した化学物性の制御について、さらに深い総合的な知見を得ることを目指す。
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