2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21676001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 秀和 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80294130)
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Keywords | 遷移金属酸化物 / 酸化物エレクトロニクス / 強磁性ダイオード / 金属-絶縁体転移 / ナノドメイン / ナノ構造デバイス |
Research Abstract |
本研究では、強い電子相関により、高温での金属絶縁体転移、強磁性転移など新奇物性を示す遷移金属酸化物において、ナノサイズ超構造、及びナノヘテロ構造を作製し、物性発現の源である最小単位の強相関電子相をバイアス電圧・温度・光により制御できる技術・方法論を確立し強相関エレクトロニクスを創出することを目的とする。 ■強磁性ダイオード:酸化物界面バンド工学と世界に先駆け構築した酸化物ナノ構造作製技術を駆使し、電界制御型素子としてFe_<2.1>Zn_<0.9>O_4ナノドット/Nb:SrTiO_3強磁性ダイオードを開発した。300mmサイズエピタキシャルナノドットダイオード構造において、バイアス電界での磁気抵抗効果のコントロールに成功し、その原因が同物質の高いスピン分極率に起因することを明らかにした。 ■VO_2歪み薄膜における電界誘起超巨大絶縁体・金属相転移:従来報告されてきた薄膜材料と比較し、一桁低い低電圧、100倍の変化率を有する絶縁体-金属相転移スイッチングを発見した。加えてこの原因が、通常の100倍の大きさを有する金属相電子ドメインの発現によるものであることを発見した。また、VO_2にWをドーピングすることにより、強相関電子状態を制御し、動作温度および外場応答性を制御できることを明らかにした。 ■極小サイズ(50nm以下)のナノデバイス形成に関して:パルスレーザ蒸着(PLD)法でテンプレート側面へ薄膜結晶を成長させることにより、装置分解に縛られず分子層レベルでナノ構造のサイズ(厚み)制御が可能な"3DナノテンプレートPLD法"を新たに考案した。これにより、透明酸化物半導体ZnO、強相関酸化物(Fe,Mn)_3O_4および(Fe,Zn)_3O_4において、いずれも従来の限界を超えた10~40nmサイズでの各種ナノ構造(細線・ドット・ボックス)の作製を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ナノインプリント、3DナノテンプレートPLDなど、より高度に発達した極小ナノ構造デバイス形成法を確立し予想以上の進展を得ている。さらにVO_2の電子相ドメイン制御による外場応答性制御、(Fe,Zn)_3O_4ナノドットダイオードにおける高スピン偏極、(Fe,Mn)_3O_4ナノ狭窄磁気抵抗デバイスの磁気抵抗効果など、これまでのマクロスケールの薄膜デバイスでは得られないナノ制限空間における新奇物性を順調に得ることに成功している。新たに開発した極小ナノ構造デバイス形成法を、これまで報告してきた上記デバイスに適用することにより、一層優れた効果を得ることが出来ると判断される為。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度までに基本動作を達成した以下の代表的な二つの強相関酸化物デバイスにおいて、 ■高温強磁性強相関(Fe,Zn)_3O_4薄膜ヘテロ接合デバイス:室温電界強磁性・磁気抵抗制御 ■室温巨大金属絶縁体転移VO_2薄膜デバイス:電界制御金属・絶縁体相転移スイッチ 前年度までに確立した、独自の酸化物ナノ構造作成技術を用い、10nm-100nmサイズの極小ヘテロ構造デバイスを作製することにより、その外場応答率を10~100倍に向上、必要電界を1/10以下にする事を目指す。
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Research Products
(30 results)