2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞ビルドアップ型ウエットナノロボティクスの構築と機能創発
Project/Area Number |
21676002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森島 圭祐 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60359114)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | バイオアクチュエータ / 筋細胞 / マイクロマシン / ウェットロボティクス / 昆虫細胞 |
Research Abstract |
心筋細胞の自律的拍動を利用した力学的・化学的に制御できる構造体をゲルによって作製し、制御実験及び動作解析を行い、運動のモードから情報を抽出できる可能性を示すことに成功した。さらに、昆虫の筋細胞、筋組織を用いて、室温で動作する細胞そのものを用いたアクチュエータ及びマイクロ構造体を作製し、動作性能を評価した。また、昆虫の筋組織由来培養細胞株の樹立の試みを行い、筋細胞を健全な状態で効率よく得る条件の検討のために、供試虫と初代培養法の準備を行った。材料となる胚子の発育段階の調整などを考慮して、供試虫の飼育法の最適化を行った。次に、筋細胞を無菌かつ健全な状態で培養に移行させる初代培養法の条件を検討した。昆虫の筋細胞の駆動力で動作する構造体を構築し、力学的・電気的・化学的・光刺激による細胞ビルドアップ型ウエットナノマイクロロボットの制御の基礎実験を行った。細胞を配置する方法として、インクジェットと薄膜を用いることにより、細胞をプリンティングする技術を確立した。これにより、細胞を数ミリメートル単位の集団で、ハンドリングが可能になり、マイクロ構造体へのアッセンブリがソフトマシン製造方法において可能になると考えられる。最終的に、他のアクチュエータとの比較をおこない、筋細胞組織とMEMS構造体で構成されるマイクロナノロボットを設計試作した。また、本研究に関する研究成果として、MicroTAS国際会議、ジャーナル8本が採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、目標にしていた世界初の細胞レベルで生体を用いた「室温で制御可能なバイオアクチュエータ」による細胞ビルドアップ型ウエットナノロポティクスの基盤技術を構築することができ、下記の5項目について実証することができた。4項目目の筋細胞の室温化での光制御に関しては、予想外の展開で独創的かつ新規性のある結果が出た。 1.昆虫筋細胞のバイオアクチュエータとしての耐環境ロバスト性の実証に成功 2.昆虫筋細胞組織の生体外での再構築に成功 3.昆虫筋細胞によるバイオアクチュエータを用いたウェットロボットの動作に成功 4.遺伝子操作による昆虫筋細胞の光応答性の機能発現 5.昆虫筋細胞及び他の筋細胞のマイクロナノウェットロボットへの部品化
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度が最終年度であるため、次年度以降のプロジェクト継続、及び新たな展開に向けて、本研究課題のまとめを平成25年度は行い、確立した細胞ビルドアップ型ウェットロボティクスの基盤技術をもとに、モデリングや光刺激による細胞の制御、医療応用につなげる基礎研究を行っていく。また、昆虫の筋組織由来培養細胞株の樹立に関しては、まだまだ時間が必要であるが、引き続き検討を行っていく。
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Research Products
(18 results)