2013 Fiscal Year Annual Research Report
公衆衛生工学手法による気中分散粒子系汚染物質の人体曝露経路予測と制御
Project/Area Number |
21676005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 一秀 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 准教授 (20329220)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | 気中分散粒子系汚染物質 / 公衆衛生工学 / 数値流体力学 / 室内空気環境 / 健康リスク / エアロゾル / 人体曝露経路 / 用量二作用関係 |
Research Abstract |
本研究は室内空気環境の新たな汚染源として着目されている気中分散粒子系汚染物質の空気力学的・化学的・微生物学的特性を厳密にモデル化し, 放散源を含む非定常不均一濃度分布の予測が可能な統合モデルを構築することで人体曝露経路を解明する. さらに, 疫学モデルを統合することで総合的な健康リスク評価モデルを提案することを最終目的とする. 最終年度である平成25年度は以下の研究課題を遂行した. 1. 人体モデルに統合可能な数値気道モデルの開発 実人体のCTデータを基に, 数値人体モデルの鼻腔, 口腔と境界面を共有し気管支第4分岐までの詳細幾何形状を再現した数値気道モデルを作成した. この数値気道モデルに適用可能で且つ代謝量Mの変化に対応して呼吸量が変動する新たな非定常呼吸サイクルモデルを提案した. 数値気道モデル内の非定常熱・水分移動解析と数値人体モデルの人体熱モデルとの連成手法を確立した. 2. アグリル製気道モデルを対象としたPIV計測数 値気道モデルと同一の幾何形状データを用いて, 3Dプリンタにてアクリル製気道モデルを作成し, 気道内流れ場のPIV計測を実施した. 定常呼吸を仮定し, 7.5L/minから30L/minの流量範囲で気道内の2次元風速分布を計測した. 実験と対応した条件でCFD解析を実施し, 低Re型k-eモデルによる流れ場解析結果が十分な精度で気道内流れ場の解析が可能であることを確認した. 3. 各種ウィルス・NBCテロ対策用ソフトウェアへの拡張空気感染性ウィルスや意図的に散布された生物剤・化学剤の気中拡散は第一次近似的にはエアロゾルの空気中輸送現象と同一であり, 本研究で開発する工学予測-公衆衛生学リスク評価の統合モデルを適用することで, 災害時を想定した事前予測が可能となり, 効果的な防災設計, 安全設計に貢献できる. ナノスケールからマイクロスケールのエアロゾルを対象として, 人体周辺での濃度分布から, 鼻腔を介した気道内への輸送現象, 気道内での不均一沈着量分布, 肺までの通過確率をLagrangeモデルを適用して詳細に解析を行うことで, 人体経気道曝露濃度予測と健康リスク評価のための基礎解析データを蓄積した.
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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