2012 Fiscal Year Annual Research Report
き裂成長履歴推定に基づく大型溶接構造物の疲労寿命推定の高精度化
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21676007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 浩二 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (60274487)
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Project Period (FY) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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Keywords | 疲労き裂 / 表面き裂 / 埋没き裂 / 二軸疲労き裂伝播試験 / 疲労 / き裂結合力モデル / 応力拡大係数重み関数 / 疲労き裂伝播シミュレーション |
Research Abstract |
今年度計画に沿って,以下の項目について研究を実施した. 1)簡易的な表面,埋没亀裂の応力拡大係数重み関数の導出: 溶接構造物で疲労損傷が懸念される継手止端部近傍は急峻な応力場であるとともに,亀裂幅方向に応力勾配を有することが一般的である。このような領域中に存在する表面亀裂や埋没亀裂の疲労成長挙動を精度よく推定するために構築中の数値シミュレーションコードへの実装に適した,陽な形式で表現された応力拡大係数重み関数の式を導出した. 2)表面き裂の亀裂形状(アスペクト比)変化推定式の拡張: 過去に研究代表者らが構築した推定式の改良に必要なデータを得るための疲労試験を実施してデータを取得するとともに,推定式の適用範囲の拡張を行った.次年度に適用範囲の更なる拡大を行い,通常の大型溶接構造物で疲労損傷が懸念される領域で十分に適用可能な式の導出を目指す. 3)表面・埋没亀裂の疲労成長履歴推定精度の高精度化: 上記項目1)2)で導出する重み関数とアスペクト比変化推定式を,板厚貫通き裂問題に対して開発してきた疲労き裂成長シミュレーションコードに実装させ,き裂成長履歴の予測を行った.比較対象とした複数の実験により取得した亀裂成長履歴データに対し,良好な推定ができた場合と推定精度が劣るケースが存在した.この理由について次年度に分析を行う. 4)二軸引張条件下での疲労き裂成長挙動評価: 載荷軸方向で異なる荷重比及び異なる位相差を有する二軸変動荷重を付与した疲労亀裂伝播試験を実施するとともに,本研究でこれまでに構築した疲労亀裂成長履歴推定手法を適用した推定結果と実測結果を比較し,提案手法を用いることで良好な疲労き裂成長履歴の推定ができることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は1)二軸変動荷重履歴下における疲労亀裂伝播挙動の推定,2)表面・埋没亀裂の成長挙動の推定,の二項目を中心に実施している.1)については今年度で研究当初予定の項目を既に達成した.2)についてもほぼ予定どおりに推移している.なお,1)については更なる発展項目として次年度に,面外ガセット溶接継手止端から成長する疲労亀裂成長挙動に関する実験と推定のための数値シミュレーションを実施予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究進捗は,研究申請時の計画調書に沿っておおむね順調に進展しており,今後も計画調書に沿って研究を進める. 本研究では今後も,複数の大型疲労試験機を活用した系統的な疲労試験の実施が必要であるが,疲労試験機を稼働させるには,長期間に渡る継続的な電力供給が必要である.一方,東日本大震災以降の電力供給事情(特に節電目標等への公的機関としての対応)のため,当初予定の実験数をこなせないことが懸念される.電力問題については,研究実施機関独自の対策は困難なため,研究で構築するアルゴリズム検証に支障が最小限となるよう,実験条件の削減を検討する場合があり得る.
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