2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造化糖鎖素子を介した機能糖鎖集密化バイオマテリアルの創出
Project/Area Number |
21678002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北岡 卓也 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (90304766)
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Keywords | 糖鎖 / 酵素反応 / 自己組織化 / 分子配向制御 / 糖鎖密度制御 / 細胞培養 / バイオインターフェース / ナノ粒子 |
Research Abstract |
ナノ・バイオ研究の発展にともない、医用工学分野で注目の糖鎖機能材料の開発機運が高まっている。本研究では、独自の「非水系酵素触媒反応による糖鎖合成」と「構造性糖鎖の集積造膜技術」により、生命現象に直結する糖鎖の構造と機能を模倣した糖鎖系バイオマテリアルの創出を目指している。本年度は、樹木糖鎖のセロオリゴ糖や甲殻類の骨格分子であるキトオリゴ糖を対象に、ナノ構造化素子機能の発現と制御を試みた。特に、糖鎖密度とバイオ機能の関係性を解明するため、糖鎖集積状態の制御と動物細胞を用いたバイオ機能発現を検討した。 1.非水系酵素触媒反応による糖鎖合成機構の解明 精製セルラーゼを用いて界面活性剤被覆酵素を調製し、セロビオースからのセルロース合成機構を精査した。Exo型酵素によりオリゴ糖合成が促進され、Endo型酵素により分子鎖伸長反応が起こる基本機構が示唆された。 2.糖鎖ハイブリッド集積界面の設計と機能検討 セロヘキサオースとキトヘキサオースの還元末端選択的S誘導体化と金基板への自己組織化により、様々な糖鎖密度のハイブリッド界面を設計した。QCMとXPSを併用することで、膜表面の詳細な糖鎖比率を算出することに成功し、キチン61%・セルロース39%の膜において、ヒト肝ガン細胞HepG2のスフェロイド形成が観察された。さらに、シトクロムP4501A1によるEROD活性を測定したところ、市販のスフェロイド形成基板を上回る肝機能の発現が見られた。すなわち「糖鎖側の材料設計により細胞側を操作する」糖鎖系バイオインターフェースの機能創出に成功した。 3.逆ミセルを反応場とする糖鎖集積金ナノ粒子の合成 界面活性剤AOTを用いてイソオクタン中でNMMOを水相とする逆ミセルを形成させ、超単分散の金ナノ粒子の合成と糖鎖の表面修飾に成功した。ConAおよびWGAによるレクチンアッセイにより、表面糖の認識を確認した。
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Research Products
(21 results)