2011 Fiscal Year Annual Research Report
ペタスケールシミュレーションのための高性能な並列線形ソルバ
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21680003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩下 武史 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (30324685)
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Keywords | ハイパフォーマンス・コンピューティング / 計算機システム / シミュレーション工学 / 応用数学 / 線形反復法 / マルチグリッド法 / 有限要素法 / 数値解析 |
Research Abstract |
平成23年度では、平成22年度までに作成した陰的マルチグリッド化プログラムの成果を受け、同プログラムで生成された拡大連立一次方程式に対応する並列化線形ソルバを作成した。具体的には、冗長な未知変数を持つ連立一次方程式の求解を訂能とするシフトILU分解前処理付きクリロフ部分空間反復法のスレッド並列化ライブラリを作成した。これにより、与えられた任意の連立一次方程式に対して、これを陰的マルチグリッド化し、並列化ソルバで解くという一連の解法手順が確立できた。その結果、各応用分野において生ずる連立一次方程式において、マルチグリッド法の有効性や各種のスムーザの比較が簡便に行うことが可能となった。 次に、本研究におけるターゲットの一つである悪条件な問題への対応については、陰的マルチグリッド法の基盤概念であり、研究代表者らが考案したEEC/IEC(陽的/陰的誤差修正)法の適用が有効であることが分かった。同手法では問題固有の性質に着目した誤差修正法を用いるため、本研究では研究代表者が知見を有している電磁場解析に本手法を適用した。その結果、非常に多くのタイムステップを必要とする電動モータの時間発展解析において、時間周期有限要素法の定式化に基づくEEC法の利用により、大幅に収束までのタイムステップ数を削減することに成功した。また本研究と関連して、時間周期有限要素法の並列化による時間方向の並列化を実現し、EEC法による手法との比較検討を行った。これらの研究成果はIEEE Trans. Magn.誌に発表されている。 また、プロセス並列による分散メモリ環境が不可欠な問題として、大規模なEMC(Electromagnetic compatibility)の問題を取り上げ、開発したマルチグリッドソルバがマルチプロセス・マルチスレッドを併用するハイブリッド並列環境下でも良好に動作することを示した。
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