2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミリセカンド可変光学系による高速フォーカスビジョン
Project/Area Number |
21680015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥 寛雅 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 助教 (40401244)
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Keywords | 高速画像処理 / 液体レンズ / 可変焦点 / 光学系 / 高速フォーカスビジョン / ダイナモルフレンズ |
Research Abstract |
平成21年度は、高速可変焦点光学系の設計と、センシング手法開発とを行った。 まず、既存のダイナモルフレンズ試作品を想定した初期実験用の可変焦点光学系を、光学CADを用いて、1から0.5倍程度の光学倍率をもつマクロ系として設計した。このとき、F値が極端に大きくなってしまって暗くならないよう留意した。設計した光学系を実際に試作し、設計した仕様を満たすことを確認した。 次に、構築した光学系と高速カメラを組み合わせ、高速な焦点距離制御が有効な応用実験を行った。具体的には複数枚のピント位置の異なる画像を合成して被写界深度が拡張された画像を得る全焦点画像合成を高速なフレームレートで行い、提案した光学系の有効性を実証した。ダイナモルフレンズの高速応答性能のおかげで焦点距離を500Hzで振動させることができ、手前から奥、もしくは奥から手前へのピント移動を1msで実現できた。この時の映像を高速カメラにより8000fPsで記録し、それにより得た画像系列から8枚に1枚の割合で被写界深度を拡張した画像を合成した。この画像系列は実質1000fPsの割合になっており、これまで高速カメラで撮像しなければいけないような高速な画像系列を合成できることを示した。一回の焦点スキャンに1msしか必要としないため、通常の物体の運動は無視できるようになり、揺れる紐を対象とした実験でも目立ったノイズもなく全焦点画像が合成できた。 さらに、ミリ秒オーダの応答時間をもつガルバノミラーを用いて、高速に視線方向を切り替えることができる光学系であるサッカードミラーを提案・試作した。通常ミラーを用いると視野角が非常に狭くなるという問題があるが、提案システムは瞳転送光学系を用いて瞳をミラー内部に転送することで画角を損なうことなく視線方向を高速に切り替えることに成功している。試作したサッカードミラーは7msで視線方向を切替えることができた。
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