2011 Fiscal Year Annual Research Report
記憶学習に関与する神経回路の可視化とシナプスにおける変化の解析
Project/Area Number |
21680027
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松尾 直毅 京都大学, 次世代研究者育成センター, 特定准教授 (10508956)
|
Keywords | 記憶 / マウス / シナプス |
Research Abstract |
記憶学習を含む高次脳機能は神経細胞同士のつながりにより支えられている。したがって、そのつなぎ目であるシナプスのin vivoでの知見は、高次脳機能を理解するうえで極めて重要な手がかりとなるが、技術的制限などの問題により解析困難であるのが現状である。近年の多くの研究によりAMPA型グルタミン酸受容体はシナプス可塑性に中心的役割を果たしているという証拠が蓄積しつつある。そこで本研究では、申請者らが開発した「任意の行動刺激により活動した神経細胞においてAMPA型グルタミン酸受容体(GFP-GluR1)の挙動を観察することが可能なトランスジェニックマウス」を利用することにより、in vivoにおけるシナプス入力・可塑性のパターンの空間的な解析を行った。トランスジェニックマウスを新規環境に提示することにより細胞体におけるGFP-GluR1のde novo合成を誘導し、24時間後にそのシナプス局在を共焦点顕微鏡を用いて観察した。得られた顕微鏡データを東京大学との共同研究により解析を行った結果、背側海馬CA1領域の錐体細胞の樹状突起上ではGFP-GluR1陽性のシナプスが8umの範囲内で有意にクラスターを形成していることが明らかとなった。つまりシナプス可塑性が空間的に近傍のシナプスの間で生じやすいことを示唆している。この現象は樹状突起における入力の非線形的な加算に大きく影響すると考えられ、実際の脳内で働いている神経細胞の演算方法の理解に大きく貢献するものである。
|