2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規シナプス修飾分子LGIファミリーの生理機能の解明
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21680029
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
深田 優子 National Institute for Physiological Sciences, 細胞器官研究系, 准教授 (40416186)
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Keywords | 神経科学 / リガンド・受容体 / シナプス伝達 / シナプス / グルタミン酸受容体 / AMPA受容体 / LGI1 / 生化学 |
Research Abstract |
最近、私は脳内の主要な興奮性シナプス伝達を司るAMPA型グルタミン酸受容体に関連したシナプス膜蛋白質複合体を精製し、PSD-95、Stargazin、ADAM22およびLGI1を主要構成分子として同定した。興味深いことに、Stargazin、ADAM22およびLGI1は遺伝学的解析から各変異がてんかんを引き起こすことが別々に報告されていた。とりわけLGI1は単一遺伝子の変異でヒトの側頭葉てんかんを引き起こす機能不明な蛋白質であった。これまでに申請者は、LGI1がADAM22を受容体として機能する分泌蛋白質であり、AMPA受容体機能を促進する新規シナプス修飾リガンドであることを明らかにした(深田らScience 2006)。本研究では、1)LGI1の個体レベルにおける生理機能、および2)LGI1シグナルの性状と伝達機構を明らかにする。今年度はLGI1ノックアウトマウスを作成し、LGIの個体レベルでの生理機能を解析した。私はLGI1遺伝子欠損マウスが生後2-3週間で必ず致死性のてんかん発作を引き起こすことを発見した(深田らPNAS 2010)。また、LGI1の脳内の主な作用点(受容体)が、てんかん関連蛋白質ADAM22とADAM23であることを見出した。LGI1はADAM22とADAM23と蛋白質複合体を形成するが、LGI1遺伝子欠損マウスではシナプスにおけるこの複合体形成が阻害され、てんかんがおこると考えられた。さらに、この欠損マウスでは、AMPA受容体を介したシナプス伝達の異常が認められた。LGI1は細胞外から脳の興奮性を制御する重要な分泌蛋白質であると考えられた。さらに、LGI1遺伝子欠損マウスはヒトのてんかんモデルマウスとしても有用であると考えられる。このように今年度の研究計画は達成できたと考えている。
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