2011 Fiscal Year Annual Research Report
アンドロゲン依存性気分障害と雄性性機能制御の分子・神経メカニズム相関の解明
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21680031
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂本 浩隆 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (20363971)
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Keywords | アンドロゲン / 雄性性機能 / 気分障害 / 脊髄 / 脳 / 神経解剖 / ガストリン放出ペプチド / オキシトシン |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでに、脊髄(腰髄)に存在するgastrin-releasing peptide(GRP)ニューロン系が雄優位な脊髄内局所神経ネットワークを構築し、雄の性機能を調節していることを見いだした。一方、ヒト女性において分娩時の子宮筋収縮などへの関与で知られるオキシトシン(OXT)が、男性では射精等の性機能に深く関与することも報告されている。そこで本研究では、腰髄のGRPニューロンにおけるオキシトシン受容体(OXTR)の発現を解析した。今回、OXTRを発現している細胞を可視化するため、OXTR-Venus(緑色蛍光タンパク質の一種)ノックイン(KI)マウス(東北大学・西森克彦教授より供与)を用いた。現在、OXTRに対する有用な抗体は存在せず、OXTRに対する免疫組織化学的解析は極めて困難であるが、このOXTR-Venus KIマウスではOXTRを発現する細胞に緑色蛍光(Venus)が発現するため、簡便かつ安定的にOXTRを発現する細胞を同定することができる。このOXTR-Venus KIマウスを用いて、腰髄GRPニューロンにおけるVenus共発現率を解析した。結果、GRPニューロン細胞体ではOXTRが極めて高い確率で発現していることが明らかとなり、OXT線維が間脳視床下部のPVN領域から腰髄領域にまで投射し、GRPニューロン系を遠心性に制御することにより雄の性機能を制御することが示唆された。 シナプス通過型神経トレーサーである弱毒化狂犬病ウイルス(PRV)を用い、球海綿体筋から脊髄GRPニューロン群へのシナプスを介した直接的投射を解析した。球海綿体筋へのPRV感染から2日後、雄ラットを灌流固定し、脊髄の連続凍結切片を用いてPRV/GRPに対する二重免疫染色を行った。その結果、ほぼ半数のGRPニューロンがPRV陽性を示し、SNB・GRPニューロン間の直接的なシナプスを介した神経回路の存在が確認された。球海綿体筋の収縮は勃起や射精に深く関与しており、SNBへの求心性GRPシナプス入力を介して雄性・性行動を制御していることが示唆された。
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Research Products
(16 results)