2010 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化シグナルを介した神経系細胞の形態制御、及び水頭症発症の分子基盤の解明
Project/Area Number |
21680033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中澤 敬信 東京大学, 医科学研究所, 助教 (00447335)
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Keywords | Fyn / RhoGAP / チロシンリン酸化 / シグナル伝達 / 脳・神経 / 水頭症 |
Research Abstract |
本年度は、Fynを介した神経系細胞の形態制御の分子基盤を明らかにすることを目的として、申請者がFynの基質として最近同定した新規Rho GTPase-activating protein (GAP)分子であるTCGAP(中澤とLiuら、J Biol Chem 2006)に注目して解析を行った。まず、実際の脳内におけるTCGAPの機能を明らかにするために、TCGAP欠損マウスを作製し、解析を行った。TCGAP欠損マウスは、外見は正常であり交配も可能であった。TCGAPが高発現している脳に注目して解析を行ったところ、初代培養神経細胞の系ではTCGAPノックダウン細胞の形態には大きな異常が見られなかったが、TCGAP欠損マウスの脳組織における神経細胞の形態には異常が観察された。形態異常を示した神経細胞の細胞骨格系に異常が観察されたことから、TCGAPは細胞骨格を制御することによって神経細胞の形態を制御していることが明らかになった。昨年度の解析によって、TCGAPの会合分子を複数同定していたが、それら会合分子による細胞骨格の制御についても解析を行い、受容体分子とTCGAPの相関関係を併せて明らかにした。TCGAPはFynによってリン酸化されることによってその活性が低下することを明らかにしているが、本年度の研究によって、細胞表面の受容体、Fyn、及びTCGAPを含んだ経路による神経細胞の形態制御のメカニズムの一端を明らかにすることができた。
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Research Products
(10 results)