2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21680039
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出口 真次 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30379713)
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Keywords | メカノバイオロジー / メカノセンサー / メカノコントローラー / 生物物理学 / 細胞バイオメカニクス |
Research Abstract |
本研究はストレスファイバの力学構造と力学的特性を明らかにすることが目的である。前年度までに蛍光顕微鏡を用いた独自の計測と観察により、ストレスファイバの動的・静的な力学構造の一部を明らかにした。ここで、試料となる単離ストレスファイバの性質をよく把握しておくことが重要である。そこで本年度の研究では細胞からのストレスファイバの単離方法の再検討と評価を行った。単離作業を行う際の緩衝溶液のイオン強度(90mMか,ら490mMまで)を変えてストレスファイバの抽出を行い、単離ストレスファイバの微細構造を(ネガティブ染色)電子顕微鏡と蛍光顕微鏡で、また、タンパク質組成をウエスタンブロッティングで、さらに、収縮能を独自の実験系でそれぞれ調べた。電子顕微鏡観察の結果、イオン強度が低いほどストレスファイバ(アクチンフィラメントの束)に沿って真っ直ぐな繊維束構造が観察された。アクチンを蛍光ファロイジンで標識したところ、イオン強度が低いほどまっすぐなアクチン構造が観察された。タンパク質組成では、アクチンやミオシン(非筋II型ミオシンIIA、非筋II型ミオシンIIB、平滑筋ミオシン、ミオシン軽鎖)の量に違いは認められなかった。一方、αアクチニンはイオン強度が上がるにつれて量が低下する傾向が見られた。また、生理的濃度のMg-ATPを抽出ストレスファイバに投与したところ、どのイオン強度でもミオシンの収縮能自体は保持されていることが分かった。しかし、とりわけ410mM以上のイオン強度では収縮しないストレスファイバも観察された。総合すると、高いイオン強度ではαアクチニンの分子構造が壊れ、それがストレスファイバの構造と収縮に影響を及ぼしたと考えられる。これらの評価実験から構造的、成分的、機能的に十分保持されたストレスファイバを細胞から単離する技術を開発できたと言える。
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