2009 Fiscal Year Annual Research Report
食品機能成分の体内動態特性に基づく薬剤性肺障害の予防
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21680051
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
板垣 史郎 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 助教 (00360925)
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Keywords | 肺胞上皮細胞 / 分化 / 単層膜 / トランスポーター / 医薬品適正使用 / OATP / 薬物動態 / 体内動態 |
Research Abstract |
正常組織より単離した肺胞上皮細胞は細胞間にTight Junctionを形成し、完全な単層膜構造を再現できる。そこで、正常肺胞上皮細胞を用いて生体内の機能をより正確に反映したin vitro系を構築することとした。肺胞上皮細胞はガス交換を担うI型細胞と、免疫修飾能をはじめ多彩な活性を有するII型細胞に分類される。II型細胞は1週間程度の培養によりI型様細胞に分化するため、ラットの肺組織からII型細胞を単離し、培養によりI型様細胞へと転換させることで、I型細胞の特性に着目した検討、II型細胞の特性に着目した検討の両者を遂行することが可能となる。 先ず、ラット正常肺胞上皮細胞の形態観察、分化の確認を行った。単離操作により得られた細胞についてトリパンブルー染色により生細胞率の測定を行った結果、90%以上が生細胞であることが確認された。また、変法パパニコロウ染色により得られた細胞のほぼ全てがII型肺胞上皮細胞と同定された。次に、単離した正常II型細胞が培養によりI型様細胞へと分化するか否か検討を行った。高密度の細胞播種ではII型細胞の特性が保持される傾向にあるが、低密度での細胞播種時にはI型様細胞への分化が促進されることが報告されているため、本検討においても細胞播種時に細胞密度に差をつけた。培養2日目ではII型細胞の特性であるラメラ体が数多く観察された。一方、6日目ではI型細胞への分化の指標である扁平化が起こり、ラメラ体は減少していることが確認された。さらに、I型、II型様細胞のマーカー分子の発現変動についての検討を行った。培養6、8日目ではI型様細胞のマーカー分子であるcaveolin-1のmRNA発現量は増加した一方で、II型細胞のマーカー分子であるGABRP、SftpbおよびSftpa1のmRNA発現量は減少した。
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