Research Abstract |
まず,昨年度の研究成果を国際学会で発表し,高い評価を得た(ED-MEDIA2010 OUTSTANDING POSTER AWARD受賞).次に,研究計画に基づき,空間認識に関する調査とタンジブル教材の改善を行った.空間認識に関する調査として,次の2点について検討を行った.1点目はタンジブル教材が誘発するインタラクティブな学びの効果,2点目はタンジブル教材による能動的学習の効果についてである.タンジブル教材が誘発するインタラクティブな学びの効果については,質的な分析方法を用いて,生徒らの活動を分析した.空間認識能力の高い生徒らは,具体的なモノ(模型)を操作しながら,仮想空間内のコンピュータグラフィックスとの連動を体験的に学習していたことが明らかになった.そして,月の満ち欠けにおいて,地球から見た視点と,宇宙空間から見た視点,宇宙船から見た視点をそれぞれ比較しながら,天体の動きを探索的学習していたことが明らかになった(国内学会にて公表).空間認識能力とタンジブル教材における能動的学習の関連については,実験計画法を用いて評価を重ねた.その結果,空間認識能力に関わらず具体的なモノ(模型)を学習者自身が手で操作することによって,理解が促進される可能性が示唆された.また,主観評価によって,仮想空間と連動したタンジブル教材の有用性を確認した(国内学会並びに国際学会にて成果を公表).なお,理科の天体領域におけるペーパーテスト得点と空間認識力の相関関係については,引き続き,次年度も行うこととなった.以上を踏まえ,公立の小・中学校における実践的授業評価を行うため,拡張現実(AR)用ソフトウェアの改良とメニュー画面の追加等,タンジブル教材の改善を行った.
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