2010 Fiscal Year Annual Research Report
拡散荷電を用いた浮遊繊維状粒子の粒子長さに関する研究
Project/Area Number |
21681004
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
藤谷 雄二 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 研究員 (20391154)
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Keywords | 多層カーボンナノチューブ / 繊維長さ / 拡散荷電 / APM / DMA |
Research Abstract |
繊維状粒子の一種であるカーボンナノチューブ(CNT)は吸入による健康影響が懸念されており、投与による動物実験から繊維状粒子の繊維長が毒性の指標となっていることが明らかになっている。本研究ではエアロゾル化されたCNT粒子の繊維長に関してリアルタイム計測の可能性を検討した。 本年度は、初年度で確立させた発生法によりCNT粒子をエアロゾル化させた。この発生法では繊維状粒子以外にも様々な形態の粒子が発生するが、微分型電気移動度分析器(DMA)-エアロゾル質量分析計(APM)法もしくはAPM法を用いて浮遊した繊維状粒子を系から取り出す条件を検討し、繊維長をはじめとする粒子形態を透過型電子顕微鏡(TEM)により把握した。その結果、分級を行わない場合では繊維状のエアロゾル化されたCNT粒子の割合が20%であったのに対し、DMA-APM法等の分級後は単分散化され、その割合も最大50%に高めることができた。 次に粒子一個あたりの帯電量(荷電効率)を求め、この値とTEM観察によって得られる投影面積径、繊維長、繊維径との比較を行った。繊維長が最も相関が良く、ついで投影面積径であった。繊維径とは相関がなく、荷電機構に最も効いているのは繊維長である事が示唆された。繊維状粒子100%の系で評価することが今後の課題となったが、荷電効率は繊維長の良い指標となり、リアルタイム計測が可能になることが示唆される結果が得られた。 さらに、昨年度の結果である非繊維状粒子である凝集体のディーゼル排気粒子(DEP)や球形のポリスチレンラテックス(PSL)粒子の結果とCNT粒子の結果を対比させた。投影面積径が300nmの場合に、CNT粒子が最も荷電効率が高く、次いでディーゼル粒子、PSL粒子となり、CNT粒子はPSL粒子の1.4倍の荷電効率であることが分かった。
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