2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21681013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊田 進太郎 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (70404324)
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Keywords | 発光ナノシート / 超格子薄膜 / エネルギー移動 / 無機エレクトルミネッセンス / 発光センシング / 水酸化物ナノシート |
Research Abstract |
ナノシートとは、ホスト層とゲスト種からなる層状化合物を水溶液中で剥離することによって得られる二次元平面の単結晶子であり、その厚さはホスト層1層の厚さ(約1nm)とほぼ一致する。これまでの研究で、我々はナノシートに発光中心を導入させることで、紫外線を吸収して赤・緑・青に発光する発光ナノシートを開発してきた。これらの発光ナノシートは分子・イオンセンシングの発光プローブや超低駆動の無機エレクトロルミネッセンス素子へと応用が期待できる。しかしながら、それらを実現させるためには、よく光る発光ナノシートの開発が不可欠であるが、現状では発光ナノシートのライブラリも少なく、その量子効率は低い。そこで本年度は、高い量子効率をもつ発光ナノシートの開発を目指した。その結果、水酸化ユーロピウムナノシートと酸化チタンナノシートを原子レベルの膜厚で積層させることで、劇的にEu^<3+>の発光強度が増大することを発見した。この成果は、ドデシル硫酸ナトリウムと硝酸ユーロピウムを含む溶液にアンモニアなどの塩基性化学種を加えると、層間にドデシル硫酸ナトリウムを含む層状水酸化ユーロピウムが合成できた。この層状水酸化物をホルムアミド溶液中で処理すると、ホスト層一層一層がバラバラとなり、水酸化ユーロピウムナノシートを得ることができた。この水酸化ユーロピウムナノシート自身はブラックライトなどの紫外領域の光では殆ど光らないが、酸化チタンナノシートをこの水酸化ユーロピウムナノシートを交互積層法を用いて積層させたところ、酸化チタンナノシートが紫外光を吸収するアンテナとして働き、そのエネルギーが水酸化ユーロピウムナノシートへ移動することでEu^<3+>の発光強度が100倍以上強くなることを見出した。この結果は、異種ナノシート同士がその界面を越えて相互作用していることを示しており、適切なナノシート積層状態を作製できれば、非常に効率の高い発光薄膜を作製できる可能性が見えてきた。
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