2011 Fiscal Year Annual Research Report
赤外分光法と原子間力顕微鏡の融合による液中での単一分子観察・同定技術の開発
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21681018
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
福間 剛士 金沢大学, フロンティアサイエンス機構, 特任准教授 (90452094)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 赤外分光法 / 生体分子 / 分子識別・同定 / 1分子計測 |
Research Abstract |
本研究では、原子スケールの分解能を持った原子間力顕微鏡(AFM)と、化学種識別能力を持った赤外分光法を組み合わせることで、分子レベルでの化学種識別イメージングの実現を目指した。 昨年度までの研究では、赤外光源とフィルタを組み合わせて、選択的に特定波長の光を照射できる赤外照射システムを開発した。さらに、それと赤外用の反射型対物鏡を組み込んだAFM装置を組み合わせた赤外AFMを設計・製作した。 本年度は、赤外フィルタの代わりに赤外分光器を用いて、2-20μm(500-5,000cm-1)の幅広い範囲で波長を連続的に変えられる赤外光源を開発した。一方で、様々な試料を、様々な基板上に作製し、分子識別イメージングのために最適な試料系を検討した。その結果、マイカ基板上に作製したポリスチレン(PS)とPMMAのブロックコポリマーの相分離膜が適していることを見出し、その作製条件を確立した。 上記の試料に対して、分光器を通して光を照射すると分子種や波長に依存した変化が見られなかった。この原因としては、分光器の挿入により光強度が大幅に弱まったことや、それによって探針直下に赤外光を正確に照射することが難しくなったことなどがあげられる。そこで、従来よりも格段に小型化したカンチレバーを用いて、力感度を7倍程度向上させた。さらに、従来よりも走査範囲を拡大したスキャナを開発して、探針の位置合わせを容易にした。 念のため、フィルタを用いる構成に一旦戻して、赤外照射前後の変化を観察した。すると、C=0振動励起用フィルタを用いた場合には、ここに吸収のあるPMMAの方がPSに比べて大きく膨張することが分かり、分子識別イメージングの可能性が示された。今後は、再び分光器を用いた構成に戻して局所的な赤外分光スペクトルの取得を目指す。
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