2012 Fiscal Year Annual Research Report
チンパンジー社会における社会的カテゴリーとそれをめぐる人間の語り
Project/Area Number |
21681031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 詞子 京都大学, 野生動物研究センター, 研究員 (60402749)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ヒト/動物 / カテゴリー / 相互行為 / 霊長類学 / 性差 / 性別役割 / 自然/文化 / 境界 |
Research Abstract |
本研究は、観察者が動物に自明のものとして当てはめるオス/メス、オトナ/コドモ、母/子、優位/劣位といった区分が、当の動物たちにとって実際の相互行為のなかでいかに組織化されるのか/されないのかを明らかにすることを目的とする。こうした区分は相互に密接に結びついており、その結びつきは人間による人間理解を背景にしているだけでなく、そうした人間理解を自然のものとして扱うことの正当性をも提供してきた。そこで、特にチンパンジーを対象とした文献研究を行った。オス研究が中心だった状況に比べると、近年メスの研究は増加傾向にあった。しかし、全体として社会学的研究は減少傾向にあり、メスの研究もオス研究のメス版とでも呼ぶべき研究が主流で、オスもメスも共に暮らすチンパンジー社会の理解は未だオス/メスで分断されたままである。そこで、こうした社会区分の実態を把握するための実態調査も行った。チンパンジー間、ヒト―チンパンジー間の相互行為分析からは、様々な区部は所与ではなく、具体的な相互行為を組織化していく過程で現れたり変化したり、さらには、そうした区分よりも活動内容の行為レベルでの境界づけに主軸がある場合もあることがわかった。そこでは、そもそも相互行為を開始することの難しさと、一旦開始できれば、完成体(オトナ)/未熟者(コドモ)という区分によってイメージされがちな、ヒト/動物関係からも大きく逸脱する、創造的かつ協調的相互行為の組織化が見られた。こうした様々な境界形成の実態解明は、自然世界に対する見方だけでなく、それを支える人間世界対する見方を変えることにも貢献しうる。そこで、こうした自然/文化の境界領域に関わる実態について、人類学や霊長類学者等とともに、研究会と公開ワークショップを通して議論も行い、様々なイメージとしての区分と実態のズレだけでなく、そうした区分を積極的に利用する側面も見出された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)