2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21682002
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
皆川 泰代 慶應義塾大学, 社会学研究科, 准教授 (90521732)
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Keywords | 音声知覚 / 大脳半球左右側性化 / 音韻 / 近赤外分光法(NIRS) / 対照言語研究 / 乳幼児脳機能 / 新生児 / 脳波 |
Research Abstract |
本研究は「音声言語獲得の大脳半球側性化モデル」を海外研究機関および大学病院小児科と提携して検証することを目的としている。このモデルは生後半年辺りまでは、音声言語の音響特徴にそった刺激音声駆動型の左右半球優位性を示すが(例、ゆっくりしたピッチ変化は右半球優位)、言語の獲得という音声特徴の統計的学習により母語の音声特徴はカテゴリー化され、それと共に左側頭部を中心として音声処理回路が構築された結果、音声言語処理の左半球優位性が見られる、と仮定する。 このモデルを検証するための実験、具体的には実施計画中の1)音響特性と左右半球優位性の実験,2)音素の種類と側性化の発達研究の一部の結果を得たが概ね仮説を支持する結果となった。例えば新生児においては母音対立に対しては両側性の脳反応、抑揚対立においては右半球優位な脳反応がみられた。この右半球優位性はゆっくりしたピッチ変化は右半球優位であるという刺激駆動型の脳反応として説明ができる。一方で非言語音を使用したNIRS実験では新生児は必ずしも刺激の音響特性に応じた左右半球側性化が見られなかった。これについては、言語音と非言語音の音声特徴の違いが関与している可能性がある。これら新生児や6-10ヶ月児のその他の研究結果について論文化を進めている。またこれらの結果をあわせて、「音声言語獲得の大脳半球側性化モデル」についてのレビュー論文をフランスENSの共同研究者と執筆していたが、昨年12月に投稿し、3月末に受託された。今後はこの論文でのレビューをもとに導きだした今後の研究課題について取り組み、このモデルの検証を行っていく予定である。更には脳領野のコネクティビティの発達変化についても解析ができるようになってきたので、この方法を応用し、左右半球側性化と両側の結び付きの発達変化についても検討する。
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